AriaLien

*HANAHA NOVEL&LIFE BLOG*

カテゴリ: ◆Schwart Mythos

──遥か遠い昔、其の地には何もなかった規則もルールも統率も縛りも何もなかった。ただ人間同士が本能のままに無秩序に生きていた。そんな地にある日突然現れたものが世界を一変させる。其れを見た者は口々に云った。『黒いものが降り立った』『闇がこの世界を覆いつくす』 ...

昔々。──といっても現代に通じる時代のとある世界のとある国のお話とある世界の名前をメガロティアといい、とある国の名前をノーティアといった。メガロティアの南に位置するこのノーティア国は絶対君主主義国家で現在国の頂点に立つ国王は初代健国王から数えて18代目にあ ...

バルダーニが不思議な夢を見た夜から二ヶ月が経った頃、バルダーニは信じられない朗報を訊く事になる。「あなた、やっと…やっとあなたのお子を授かる事が出来ました!」「! まことかっ」喜ぶ妃につられ、バルダーニも全身で其の喜びを体現した。この吉報は王室内は勿論、 ...

其の日は春の陽気が心地良い雲ひとつない晴天だった。既に産み月を迎えていた妃が朝方から産気づき、身を引き裂かれる様な痛みに耐えてから10時間ほどして──『ホギャァァ、ホギャァァ』まるで軽やかな鈴の音の如く響く泣き声が城中を包んだ。「産まれたのか!」バルダーニ ...

あの輝かしい日から時は瞬く間に過ぎ、父が想いの丈を込めて付けた【アメリア】という名に相応しくちいさな姫君は神に愛される様に健やかに成長して行った。「はい、姫様大変結構でございます」「…」「では本日のお勉強は此処までに致しましょう」「…先生、ありがとうござ ...

 『おーい、アーリァ!』「…?」勉強時間を終え、自室に向かうために歩いていた。ふと耳に届いた声に視線を向けると『こっちこっち!』「…」開け放たれた窓から外を覗くと、中庭の花壇の前にフェルがいた。『なぁ、こっち来てみ!いいもの見せてやるよー』「…」フェルこ ...

「ふふっ、アメリア。お母様、見ちゃったわよ」「…?」毎日恒例のお母様との昼下がりのティータイムにて、にこやかな笑みを浮かべながら突然そう云われた。「先刻、フェルディナントと愉しく遊んでいたでしょう」「…遊ぶ?」「えぇ、中庭の花壇の処で。遊んでいたんでしょ ...

「──博愛主義者?」「えぇ、アメリアはわたしたちの事を含めて全ての人を等しく平等に愛しているんですって」「…」夜になり、いつものようにメナムとの心休まるひと時を過ごしているとメナムはクスクス笑いながらそう告げた。「わたし、其れを訊いて少しだけ安心しました ...

「す、すまない…怒鳴ってしまって」「…いえ、いいんです。あなたの事ですから何か考えがあってのお言葉なのでしょう?」「…メナム」「理由は…教えてくださらないんですか?」「…」云えない──(メナムには契約の事を云えない)夢の中で交わした契約だの、夢を見たから ...

突如として始まったアメリアの婿候補集め。其れはバルダーニとメナムによって静かに進められた。「は?今、なんと」「だからそなたの息子、フェルディナントをアメリアの婿候補として迎えたいと云っている」「…バルダーニ王よ、ご冗談は──」「冗談ではない。おれは至極真 ...

「おぉーい、アーリァ!」「…」其の日もいつもの勉強を終え、自室に向かうために歩いていた廊下から声を掛けられた。フェルはある部屋の前でブンブンと腕を振っていた。「こっちこっち!」「フェル、どうしたの」私はフェルの元へ行き、開け放たれている扉から見えた室内の ...

表向きは騎士見習いとして、しかし其の裏の事情はアメリアの婿候補としてフェルディナントが城に住み込むようになってから一週間。10歳同士のフェルディナントとアメリアの関係がそう簡単に変わる訳でもなく今までと何ら変わりのない日々が過ぎて行った。そんなある日──「 ...

2年前、お母様の父上──つまりヴォーリア国王が崩御され、お母様の兄上が国王として即位する際に行われた戴冠式で私は初めて従兄妹たちと顔を合わせた。従兄妹──といってもみんな私と随分歳の差があったので気軽に話をする程打ち解ける事はなかった。そんな中でも第3王子 ...

「そう、揃ったのですね」「あぁ、なんとかな」早春の頃のとある夜、バルダーニとメナムは相変わらず仲睦まじい夜を過ごしていた。「でも…本当にイグナーツを候補に加えてよかったのですか?」「なんだ、君の甥だぞ。もっと自信をもって薦めてくれないのか」「いえ…いい子 ...

大体が王の相手はどこぞの姫君か王家に有益な身分の高い家の娘と決まっていた。恋愛結婚など認められない身分、其れが王というものだった。そうなると王の結婚は政略結婚──つまりは見合い結婚となる。婚姻と恋愛は別物。故に王は側室を持つ事が赦されていた。バルダーニと ...

両親によって身の回りに婿候補が置かれていた事など全く気が付かないアメリアは今までと何ら変わり映えのない日々を過ごしていた。「え、勉強しかしていないの?!」「…そうですけど」其の日初めて道徳の勉強時間を迎えた。先生として私の目の前には従兄妹のイグナーツが座 ...

「は?社会見学?」「…そう。なんだかよく解らないんだけれど明日、城の外に行く事になったの」道徳の時間を終え、私はイグナーツから云われた事を伝える為にフェルに逢っていた。「そんなのバルダーニ王が赦さないだろう?今までそんな事一度もなかったんだし」「其れが… ...

突然イグナーツが云い出した城外への社会見学。私は全く気が進まなかったけれど、お父様は赦してはくれないだろうという思惑があったのでイグナーツと共にお父様にお願いをしに行った時は案外気が楽だった。しかし予想に反してお父様はあっさりと『イグナーツが一緒ならばよ ...

書庫室で繰り広げられている珍事に私は少しだけ茫然としてしまっている。「あんた、馬鹿だな。人間の唾液は雑菌だらけなんだ。そんなものを傷口に流し込むなんて嫌がらせとしか思えない」「…雑菌」「そんな事も知らないのか?馬鹿だ、本当に馬鹿だ」「…」(えぇ…っと)先 ...

イグナーツ発案の社会見学に出かける事になった私たち4人。城を出て綺麗に整備されている広い庭園を抜けると大きな城門が見えた。(此処から先は…未知の世界だわ)この門を自分の脚でくぐった事は一度もない。ごく稀にお父様やお母様の用事に付き合い城の外に出る時は大抵馬 ...

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