そして仕事で空虚な心を埋める日々のある日。


「会食、ですか?」
「そうなんだよ。二号店は日本に出店するという事でうちと取引のある店を紹介してくれって事で社長直々のお達しで」

部長に呼ばれ訊かされたのは接待の話だった。

海外からのバイヤーの通訳の為に会食という名の接待に出る事は珍しい事ではなかったので今回も同じように特に何も考えずに承諾した。




(三年前にニューヨークに出店したレストランが好調で其の二号店を日本で…ねぇ)

会食会場となった料亭で私は交渉相手の資料に目を通していた。


ピリリリリリ

「おっと、電話」

同席していた営業部長の携帯が鳴り、席を外すと云って個室から出て行った。


(…しかし凄いお店ね)

指定された料亭は有名な高級料亭で庶民が気軽に行けるような処ではなかった。

仕事でなければ当然私も行く事が適わないお店だ。

(外国人って好きよね、こういう純日本って感じのお店)

そんな事を考えながら待つ事数分。


スゥ──

部屋の襖が開く音がして部長が戻って来たのかと資料から視線を上げる。

すると

「…え」

其処にいたのは部長とは似ても似つかわない背の高い色男だった。

「hello」
「…え、あ…は、はろぅ」

余りにも驚き過ぎて思わず日本語英語の発音になってしまった。


「ふっ──すみません、驚かせてしまいましたか」
「!」

一転、流暢な日本語で話しかけられ唖然としてしまった。

「どうも初めまして、僕はle lien (ル・リアン)代表のサージェストです」
「あ…は、初めまして…通訳の佐崎、です」

(なんて綺麗な青い目)

間近で見つめられたサージェストと名乗る人の吸い込まれそうな瞳から目が離せなかった。

だけど其の人は其の目の色と色素の薄い明るい髪の毛だけが変わっていて、見かけは日本人のように見えた。


「通訳、そうですか──でも僕、日米のハーフなので日本語、ペラペラなんですよね」

(ハーフ)

あぁ、だから日本人っぽい顔立ちなのね、と納得していると、急にサージェスト氏が私の目の前に腰を下ろした。


「連絡の行き違いかな。通訳は要らないと云ったのだけれど…でも君みたいな美人と知り合えたのはluckyかな」
「!」

不意に手首を掴まれいきなり其の場に押し倒されてしまった。

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