其の日の夕食の席はとても賑やかだった。 


「本当すっげぇ綺麗な顔してんね、龍ちゃん」
「…はぁ」
「ねぇねぇ、お父さんもカッコいいの?」
「…普通、だと」
「嘘嘘!ロシアの男って美形ばっかじゃん!絶対カッコいいよね?」
「…人によりけりかと」

(主に裕翔くんが賑やかしい)

ダイニングに集まった五人の内、女は私ひとり。

いわゆる紅一点という訳だけれど、此処にいる男たちは女には興味のない勿体ない軍団だ。

「おい、裕翔。食事中に話すのは止めろ。八柳さんに迷惑だろう」
「えーなんで?ひと言も喋っちゃダメなの?そんな事今までなかったじゃん」
「程度の問題だと云っている」
「もぉ、浬はお小言ばっかり」
「お小言?おれはそんな──」
「はいはい、其処まで!裕翔、浬の云う通りだぞ。食事中は食事に関する感想を云えばいい」

裕翔くんと浬くんの云い争いに割って入ったお父さんのひと言でシンッとなった。

(まぁ、いつもの光景だけれどね)

こういう食卓はいつもの事なので今更戸惑ったりしない。

其れに静かな食卓よりも賑やかな方が私は好きだった。

(…でも)

チラッと龍ノ介くんを覗き見る。

綺麗な箸遣いで黙々と私の作った食事を食べている。

新しく我が家に加わった居候の龍ノ介くんに裕翔くんも浬くんも興味津々で色々話しかけていた。

そんなふたりからの話しかけに無難に応えているのを見ていると若干の緊張感が窺えて、見ている私も少しだけハラハラした。

でも同世代の男子同士。

時間が経つにつれて其の距離は縮まっていった様に思えた。

(まぁ、相変わらず龍ノ介くんは固いけれど)

ふたりよりひとつ年上の龍ノ介くん。

年齢的には先輩になるけれど、此処での居候歴でいったらふたりの方が先輩という事になる。

そんな微妙な環境が固さを生み出しているだけならいいなと思った。

王子様の作り方
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