私が淹れたお茶を啜りながら母は話してくれた。

 
「知っているわよ。というかそもそも龍の母親と知り合いなの。彼女──華子とは学生時代からの友だちでね」
「え、そうなの?」
「そうそう。学校は違ったんだけど、コミケで知り合った同士でさぁ~」
「…コミケって」
「勿論ビーエル♪」
「っ」

意気揚々と話す母に(また始まった)と心の中で呟いた。


そう、私の母は世間でいうところの腐女子という属性だった。

男性同士の恋愛ものが大好きで、若い頃は其の手の同人誌を描き殴っていた其の道ではちょっとした有名人だった。

今は其の趣味が高じてそういう系の雑誌編集者としてバリバリ働いていた。


(そんなお母さんだからお父さんの事を受け入れられたんだろうなぁ)


解り易い需要と供給だ。


父にとっても母にとってもふたりは都合のいいカップリングだったらしい。


「でね、華子とわたしは一生結婚しないでBL道を貫いて行こう!って誓い合った仲だったんだけど、先にわたしが武ちゃんとああいう事になって」


(ああいう事って私が生まれたって事か)


「其の時華子から裏切者!って罵られて少し距離を置く時期があったのだけれど、何年かして華子も『いい男ゲットして子どもが生まれました』って連絡があってね」


(なんというか…凡人の私には理解し難い世界だ)


母が語る昔話に相槌を打ちながら、我が家にやって来た居候の彼との関係が徐々に解って来た。


「歌也、覚えていないの?あなた小さい時に一度龍と逢っているのよ」
「え、そうなの?」
「そうそう。北海道在住の華子が我が子の可愛さを自慢しに一度うちに来た事があってね、其の時は確か…歌也が6歳で龍が4歳だったかな」
「うわ~そんなの全然覚えていない」
「…そっか。でも其の時から龍は本当に可愛いくてねー流石のわたしも思わずギャフンって云っちゃったわよ」
「あっそ」

母の軽いノリに付き合うのに若干疲れて来た頃、キッチンに父と件の彼がやって来た。


「ふぃ~ちょっと休憩」
「お疲れ様、コーヒー淹れるね」

私はふたり分のコーヒーを用意しようと思い席を立った。


けれど


(あ、もしかして)

其処でハッと頭に過った事があった。

王子様の作り方
★ランキングサイトに参加しています。
其々1ポチずついただけると執筆の糧になります。

恋愛ランキング
にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村