チュンチュンと聞こえる鳴き声に気が付く。

部屋の中に細く長く伸びた朝日の光で目が覚めた。


「おはよう」
「…」
「ん、ちとせ?」
「……」
「あれ、起きてない?」
「……!し、忍っ」

急に目の前に忍の顔があって驚いた。

思わず仰け反った私の体は全裸だった。

「?! きゃっ」

慌ててもう一度布団に潜り込んだ私を見て忍はククッと笑った。

「何そんなに慌ててんの。もう全部見ちゃったよ」
「~~~」

(そ、そうだった…)

昨夜の事を思い出してカァと体が火照った。

未遂とはいえ私は忍と──

(やだぁ~思い出しただけでも…どうにかなりそう!)

あたふたしている私を忍は優しげな笑顔でギュッと抱きしめた。

其の温もりを感じると同時に首筋にチリッとした痛みが走った。

「痛っ」
「ごめん──印、つけた」
「印?」
「そっ、ちとせが俺のものっていう印」
「…あっ」

印というのがキスマークだと気が付いたのはふと目に入った胸元の痣でだった。

(なんか…あちこち赤いものが…)

そうしてぼんやりと思い出す。

私が盛大に痛がったせいで最後までする事が出来なかった後、私たちは挿入れる以外の触れ合いを沢山した。

キスは勿論、肌を触れ合ったり舐め合ったり…

其の行為のひとつにキスマークのつけ合いがあった。

私は中々上手く忍に付ける事が出来なかったけれど、忍はどんどん私にキスマークをつけて行った。

(はぅぅぅ~今思い出すととんでもなく厭らしい事していたよ、私たち!)

益々顔が赤くなった私の頭を忍は優しく撫でてくれた。

「…ちとせ、ごめん」
「? 何、突然」
「本当はもっとイチャイチャしていたいんだけど…今日も午後から部活があって」
「あ…」
「一度家に戻って着替えとかしてから行きたいからそろそろ」
「…うん、解った」

夢のような時間はあっという間だ。

忍は土日関係なく半日は部活で時間が潰れてしまうのだと云った。

其れは仕方がない事で、寂しいと思っても其処はグッと我慢した。



簡単な朝食を作って忍と一緒に食べた。

「バス、20分後に来るから」
「ん、解った」
「ねぇ、午後から練習、見に行ってもいいかな」
「えっ、いいけど…ちとせ、体大丈夫?」
「大丈夫って?」
「其の…昨日、全部は挿入れてないけど……痛くない?」
「! あっ…ぁ、う、うん、大丈夫!」

何の事を云っているのか解らなかったけれど、忍が其処まで云って思い当った。

(…本当の事云うと少しだけズキンズキンしているけど…我慢出来ない痛みじゃないし)

そんな処まで気を使ってくれる忍の優しさに心が温かくなる。


「大丈夫だったら来てくれると嬉しい」
「うん、行くね」
「じゃあ帰り、何処か寄り道しようか?」
「え」
「放課後デート…じゃないけど、えっと…部活後デート?何処か遊びに行こうよ」
「本当?」
「うん。俺私服持って行くから途中で着替えて…あ、なるべく遅くならないようにするから」
「嬉しい!しよう、デート」
「よし、決定」
「…」

嬉し過ぎてドキドキした。

土日に部活があるからまともに遊べないと覚悟していたけれど、上手く時間をやりくりすれば一緒にいられるのだと思うと嬉しくて堪らなかった。

(忍、デートだって云ってくれた)

其れだけで私は幸せを感じてならなかった。

そしてそんな幸せの中、私はひとつの決意をしていた。

(私…今日こそは頑張りたい)

昨夜の事がどうしても頭から離れない。

私がもっと我慢して、頑張れば忍と繋がる事が出来たかも知れないという後悔。

もっと…

もっと頑張れたかも知れない。

忍の事が好きだったら…

どんなに痛みを伴っても受け入れる事が出来たんじゃないかという想い。


(リベンジ…したい)


そんな私の決意を忍は知らない。

伝えるつもりもないけれど、今日こそは私が忍を幸せな気持ちにしたいなと強く思ったのだった。

secretcrush
★ランキングサイトに参加しています。
其々1ポチずついただけると執筆の糧になります。

恋愛ランキング
にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村