『あ、もしかして先生から訊いていないの?』

『あたしが男だって事』

『ふふっ、嬉しいわぁ。久し振りに襲い甲斐のある可愛子ちゃんが来てくれて』

『どうかあたしのものになってね、美野里ちゃん』


次々に語られる衝撃の告白に私の頭の中は真っ白になった。

(う、嘘…嘘でしょう?!)

今、目の前でにこやかに私の頬を撫でている美しい人が…

(男?!!)

──確かに今まで住んでいた処には色んな人がいて、勿論トランスジェンダーの人だっていた

(というか、蘭さんってトランスジェンダー…なの?)

『あたしが男だって事』

この言葉はどちらのものなんだろう。

性別は女だけれど、心は男性──という意味?

其れとも性別は男だけれど、女の格好が好きで女装している──という意味?

(あわわ~訊いていいの?!そういった繊細な問題をっ!)

私が頭の中でグルグルと考えを巡らしていると、いつの間にか目の前に蘭さんがいなかった。

「え?」

そう気が付いた瞬間

「隙ありぃ」
「っ!」

いきなり背後から抱きしめられた感触に心臓が飛び出る程に驚いた。

「だめよぉ、あたしの前で隙を見せたら」
「あっ、あ、あ…の」
「襲ってくださいって云っている様なものよ」
「~~~っ」

甘い香りと共に耳元で囁かれる少し掠れた甘い言葉にゾクッとした。

(えっ…何…っ)

後ろから抱きつかれて、背中に押し付けられている蘭さんの胸が驚くほどに柔らかくて女ながらにドキドキしてしまっている。

(この胸の感触…偽物なの?!)

蘭さんが男だと云った意味の真偽が解らないまま抱きしめられる事数十秒。

急に上半身をカウンターに押し付けられてツツッと太腿に指が這った。

「ひゃっ!」
「あら、いい声出すじゃない──ひょっとして美野里ちゃんって…スキモノ?」
「ち、違…っ」
「ねぇ、先生なんかよりもあたしの方が美野里ちゃんを気持ちよくさせてあげられるわよ」
「?!」
「あの先生はね、女を散々食い散らかして厭きてしまっているから今は干からびた仙人みたいな生活をしているの。だからこういった俗世の快楽を与えてはくれないのよ」

(何…其れ)

蘭さんから語られる東藤さんの話を半信半疑で訊いてしまっている私は、蘭さんからされる行為に抵抗出来なくなっていた。

「ダメよぉ、よく知りもしない男に心を赦しては」
「!」

(なんで蘭さんがそんな事を──)

私の悪い癖だと思われる事情を何故昨日逢ったばかりの人に云われたのか。

「だからあたしが目を覚まさせてあげる」
「なっ!」

太腿からお尻に移動した蘭さんの手つきはとてもいやらしいものになっていた。

「あたしは女の子の気持ち、よぉく解るわよ。だから美野里ちゃんの事を大事にしてあげられる」
「ひゃっ」
「男として体に快楽を与えてあげられるし、女として心を気遣って癒してあげる事が出来るのよ」
「~~~っ」

(や…や、だぁ)

服の上からだとはいえ、おしりの割れ目を妖しい手つきで擦られる事が羞恥から嫌悪に変わった瞬間

「~~~やだ…い、や…厭ぁぁぁぁ!!」

私は力の限り上体を起こし後ろにいた蘭さんを振り切った。

もしかしたら振り切れないかも知れないと思った蘭さんの体はいとも簡単に私から放れた。

「あら、まだそんな抵抗が出来たのね」
「はぁ…はぁ…」
「ふふっ、頬が上気して色っぽい顔つきになっている」
「あ…あ、あの…蘭さん」
「ん?奥に行って続きする?」
「っ、違います!」
「違うんだ」

にこやかに私と向き合っている蘭さんの云うように、先刻の行為で体が疼いてしまっている事は否めなかった。

だけどいくらなんでも其のまま流されてしまう程軽い女ではない。

「あの…こ、こういう事、止めてください」
「どうして?」
「どうしてて…私…蘭さんの事…そういう対象として見られない、というか…知り合ったばかりで…」
「でも逢ったばかりの先生にはそういう対象で見ているんでしょう?」
「っ、違います、そんな事は──」
「ないって云い切れる?もし先生が今のあたしみたいに迫って来てもちゃんと断れるのかしら」
「…そ、れは」

(東藤さんが…今みたいな…)

一瞬そんなシーンを想像して一気に頭が逆上せた。

「否定、出来ないわよね。はぁ…美野里ちゃん、其の癖治しなさい」
「! だからなんで蘭さんが──」
「十喜代さんから色々訊いていたから」
「………え」

蘭さんの口から出た名前に私の体が硬直した。

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