大人になった朔との事は何も思い出せていない。


「ふ…っ」


相変わらず私が知っている朔は高慢ちきな厭な奴だった。


「ぁ…あっ」


だけど記憶にはなくても私はこの体の何処かで覚えている。


「はぁん…あん」


こうなる事はごく自然で当たり前の事なのだと、私の体に刻まれている何かしらの呪縛が此処へと導いたのだった。


「はぁはぁ…紅実…」
「ん…はぁ…あっ」

目の前の彼が大嫌いな十六澤朔だと解っていても、求めずにはいられなかった。

今の私はただ、この目の前の彼に抱かれたくて仕方がない衝動に駆られていた。


「紅実…もう…挿入れたい…」
「…ぅん」

朔から与えられる未知の行為を恐れながらも、難なく受け入れてしまっている私がとてもおかしな感じだった。

(あぁ…ずっとずっと…私はこれが欲しかった)

頭と体とで感じる相反する感情。

朔に厭らしい事をされているのに、其れが恥ずかしくてもちっとも厭じゃなくて、寧ろ悦んでいる私がいる。

「紅実、愛している…凄く…凄く好きだ」
「ぁっ…」

朔の腰がグッと私の体に迫った瞬間、潤んで柔らかくなっている場所から蜜が溢れた。

「あ、あ、あぁぁっ」

朔のモノがグッグッと奥に進む度に、何故か私の脳裏には中学生、高校生、大学生の朔の姿が現れ、そして共に過ごしたかけがえのない愛おしい記憶が映し出された。

どれもこれも、私にとっては大切な朔との想い出。

(どうしてこんな時に思い出すの?)

其れはまるで走馬灯のように、鮮やかに私を支配したのだった。


「紅実…大丈夫か…?」
「あぁぁん、あん、あん…さ、朔…朔ぅ」
「…!」

朔の激しい律動に私の腰も連動する様に動いていた。

「はぁん…ぁんぁん…朔…朔…」
「…紅実…おまえ…」
「もっと…もっと奥までぇ…あぁん…頂戴~~~」
「…」

何故か解らないけれど、朔とのセックスは久しぶりで、だからなのかいつも以上に求めてしまっている私が恥ずかしいなと思った。

「…さ、く?」
「…ふっ…うっ…」

不意に官能気分から少し我に返ると、何故か私の上で朔が泣いていた。

「ちょ…朔?どうしたの、なんで泣いているの?!」
「う…うぅ…な、泣いてなんか…」
「泣いているわよ、何嘘ついてるの」
「ふ…っ…く、紅実…紅実…」
「ねぇ、どうしたの?痛いの?私…強く締めつけてしまった?」
「…違う…」
「じゃあ…」
「さ、最高に…気持ちよくて…」
「は?」
「紅実の中…泣けるほどに気持ちよくて…」
「な…何よ其れ!恥ずかしい事云わないでっ」
「…うん…ごめん…紅実…」
「……変な朔」


この時、朔がどうして泣いたりしてしまったのか、明確な理由を今の私が知る事はなかった。

ただ其の後、泣き止んだ朔から更に激しく求められ、今度は私の方が泣きたくなってしまったのだった。

ままごとマリッジ
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