「あんた、いつも無理しなくていいって云っているけど本当に其れでいいの?!」
 「…紅実?」
「なんか…他人行儀に接して…腫物触るみたいな態度で…あんたっていつも嫁をそんな風に甘やかしていたの?」
「…」
「私、思い出さなくてもいいの?あんたとの事、全然思い出せなくてもずっと我慢出来るの?!」
「…」
「無理しなくていいって…そんなのあんたの優しさから出ている言葉だって解っているけど…だけど違うんじゃない?!」
「…」
「好きだったんでしょう?私の事!好きだから結婚したんでしょう?!」
「…うん」
「だったら、なんでそういう部分をもっと…こう…積極的に前に出してこないっていうか…攻めてこないっていうか…」
「…」
「ショック療法的な衝撃を与えないのかって云いたいの!」
「……」

はぁはぁと荒い息を吸ったり吐いたりした。

そしてハタッと気が付く。

(……ぇ…え…私…何を…)

気が付けば静かな室内に私の息遣いが響き、そんな私の前で朔は驚くほど間抜けな表情を晒していた。

「~~~っ」

(私!何云ってんのぉぉぉぉ──?!!)

少し正気に戻れば、今しがた爆発した発言がとても恥ずかしいものだと気が付いた。

(あわわわ~~な、何よ、ショック療法って…!)

カァと全身が熱くなった。

どうしてそんな事が云えたのか自分自身解らない。


──だけどずっと…ずっと心の奥底で燻っていた感情があった


そして体の奥底が何かを求めるように疼いていた事にも気が付いていた。

其れが一体何なのか解らなかったけれど…

(其れって…もしかして…)


「…紅実」
「!」

今まで黙っていた朔が徐に口を開き私の名前を呼んだ。

「…」
「な…な、何…よっ」

恥かしさからそんなつっけんどんな云い方をしてしまった私の間近に朔が寄って来た。

「紅実…其れって…そういう意味、なのか?」
「は…はぁ?何が…」
「今云ったよな、もっと前に出せとか攻めろとか」
「な…なっ」
「ショック療法的な衝撃を与えろって」
「~~~」

やんわりと掴まれた両腕が熱かった。

私の云った言葉を朔がどう解釈したのか、其れは私が望んでいた行動に直結するものなのかまだ少し解らなかったけれど…

「紅実」
「っ」

ごちゃごちゃと考えを張り巡らしていた頭にガンッと衝撃が走った。

(キ…キ…キス───?!)

朔の掌が私の頭を包み、引き寄せられたと思ったら私の唇は朔のものと重なっていた。

「ん」
「ふっ」

押し付けられる其の柔らかな感触がついたり放れたりを繰り返し、そして気が付けば薄く開けてしまった私の唇を押して朔の舌がスルリと入り込んでいた。

「っ…ん、ふぅ…」
「ん、んっ」

ぬちゃぬちゃと舌同士が擦れ合う水音が響き、其れが大きくなる度に私の体は熱く火照って来た。

しばらく続いた厭らしいキスに酔っていると、いきなり体が傾きトンッと優しく押し倒された。

其の拍子に唇が放れてしまって、私は大きく空気を吸い込んだ。

「…さ、朔」

私を見下ろすように凝視する朔の顔はほんのり赤らみ、其の瞳は妖艶に濡れそぼっていた。

「…紅実…俺…」
「…」
「俺…もう…我慢の限界」
「っ!」
「もう三日も紅実に触れていない」
「…」
「こんなの…いい加減耐えられない」
「…」
「…紅実」
「…」

其の時私は何故か

(あぁ…久し振りに見たなぁ…朔のこんな顔)

なんて思ってしまったのだった。

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