恭輔の実家から戻った私は、其のまま恭輔の部屋に転がり込んでいた。


「はぁ…も、もう…ダメ」
「ダメじゃない…まだ全然足りないよ」
「っ、ひゃぁん、そ、其処ぉぉ~~」
「ふっ…ほら、杏奈だってまだまだじゃない」
「~~~」


恭輔の実家に一泊二日した後、私は恭輔の部屋で滅茶苦茶に抱かれた。

『同じ部屋で寝ているのに何も出来ないなんて地獄だぁ…もう絶対味わいたくない!』

そういって恭輔は実家にいた時、私に指一本触れられなかった苦悩を発散させるべく私を放そうとしなかった。

(まぁ、仕方がないよね…いくら自分の部屋があるといってもすぐ隣には雅紀くんや真己子ちゃんがいたんだし)

木造の古い家では防音なんてあってないようなもの。

廊下を歩く音やトイレの開け閉め、水が流れる音まで聞こえるという環境。

間違ってもえっちな事なんて出来るはずもなかった。

中途半端に触って暴走したら困ると云って恭輔は実家にいる間私に一切触れなかった。

其の鬱積した欲望が今、全身全霊、全速前進で私にぶつけられているのだ。
 

「きょ…恭輔…んっ…深ぃ…あっ」
「ん…ぁっ…杏奈の中…熱い…ドロドロだし」
「ぃ、云わないでぇ~~」

滅茶苦茶に愛され、体が悲鳴を上げていても恭輔に求められればどうしたって私の疲弊しきった体は其れに応えようと厭らしくうねってしまう。

(はぁ…どうしたって私…恭輔とするのが好きなんだ)

容赦ない攻めに悶えながらも其の気持ち良さに身も心も満たされまくってしまった私だった。




「…はぁ、明日から仕事か」
「あっという間だったね、休み」

やっと一息ついた私たちは裸体のままベッドの上で寛いでいた。

何となく流れが仕事の話になったので、こんな時に無粋かなと思いつつも気になっていた事を訊いてみようと思った。

「ねぇ、恭輔…訊きたい事があるんだけど」
「ん?何」
「えーっと…実家の駄菓子屋さんの事、なんだけど」
「実家?」
「うん、今は恭輔のお母さんが切り盛りしているじゃない?うんと先の話だとは思うけど…其の…いずれは…」

どう云えばいいのか少し言葉を探していると

「店の跡継ぎの事?」
「…うん…ずばり云うと…其れ」
「あぁ、其れ気になっていたんだ」
「少しだけね…だって恭輔は今の会社に就職している訳で…もし跡を継ぐならいずれは会社を辞めて実家に帰るって事を考えているのかな、とか」
「其れってさ…俺との結婚の事を見据えて考えている?」
「えっ!」

ストレートな返しにドキッとした。

(そ、そうなるのかな…この話の流れだと)

まだ付き合い始めてから日が浅い癖に結婚なんて考えているとか思われたら恥ずかしいなと思っていた。

(こういう女…きっと重いだろうな)

少し気まずくなった私はなんて云えばウザがられないか必死に考えた。

だけど恭輔はすぐに話を元に戻した。

「跡は多分雅哉が継ぐと思う」
「え」
「だってあいつ、ずっと『この店の駄菓子は全部おれのものにするんだからな!』って云っていたからさ」
「其れって…単にお菓子が食べたいから云っている事じゃ」
「うん、まぁそんな軽い感じで云っている事だと思うけどね、でも…仮に雅哉も真己子も継ぐ気はないって云ったら其れは其れでいいと思う」
「…」
「いざ其の時になって、母さんや父さんが店を潰したくないと思ったらまぁ、俺が何とかするかなって感じだけど」
「…」
「もっとも今の経営状態じゃいつ潰れてもおかしくないからね。別にそんなに伝統のある店じゃないし…臨機応変に構えているよ」
「…そっか」

確かにまだまだ先の話だろう。

恭輔が考えている程度に気に留めておくのでいいのかも知れない。

「其れに俺、今の会社入りたくて入ったからね。当分は辞める気ないよ」
「え、そうなの?」
「うん。昔から玩具に関わる仕事したくてさ。今は庶務課に配属されているけど、いずれは部署替え申請して営業か商品開発部に行きたいと思っている」
「…」

(驚いた…)

恭輔の仕事に対する野望──というか願望を初めて訊いたので少し驚いた。

確かに新入社員が希望する部署に配属される事は滅多になく、ある年数人事部が決めた部署での仕事ぶりにより希望する部署への転属届けが出せるのだ。

(そっか…恭輔は会社でやりたい事がちゃんとあったんだ)

そう思ったらなんだか恭輔の事が頼もしく思えたのだった。

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