ピンポーン 

「あ、来たっ!」

私はインターホンで対応する間もなくバタバタと廊下を駆け、玄関に向かった。

ガチャッと大きな音を立てて開かれた其処には逢いたくて逢いたくて堪らなかった人が立っていた。

「やぁ、久しぶり、紅実」
「~~~陽生…ちゃん」

約五年ぶりの再会だった。

17の時、気まずい気持ちのまま別れて以来の陽生ちゃんがすっかり大人の男性になって私の前に現れた。

「紅実、元気そうだ」
「あ、陽生ちゃん…こそ…」
「ちょ…泣かないで、紅実」
「だ、だって…だってだって~~~」

逢うまで不安だった。

陽生ちゃんが変わってしまったんじゃないかという怖さが心の何処かに常にあって、私の知っている陽生ちゃんじゃなくなったのかも知れないと怯えていたから。

「こら、再会早々何泣かせている」
「っ!」

後ろから来た朔が私の体をグッと抱き寄せた。

「やぁ、朔」
「久しぶり──元気そうじゃん」
「あぁ、君も。相変わらずデカいね」
「そういう陽生こそ。なんだよ、無駄に色男になりやがって」
「はは、よく云われるよ」

「…」

朔と陽生ちゃんのやり取りを見ているとまるで昔に戻ったみたいで…

「…ふぅ…うっ」
「え、紅実?!」
「なんで更に大泣きするの、紅実は」

余りにも感慨深くなってしまった私はしばらく涙を止める事が出来なかった。

朔と陽生ちゃん、ふたりが両側から慰めてくれるのがまた一層泣かせる要素になったのだった。



「ごめんね、いきなり泣いちゃって…」
「いや、紅実らしいなと思って可愛いかったよ」
「! か、可愛い…ですかっ」
「あれ、なんで敬語?」
「や…なんか…あは、あははっ」

(やだなぁ…久しぶり過ぎてなんだか知らない男の人みたい)

数年振りに逢った陽生ちゃんは最後に見た時より更にカッコよくなっていて、背だって朔と同じくらいの高さになっていて、おまけに…

(逞しく…なっている?)

色白でひょろっとしていた体型が均整の取れたものになっているのだろうという事がスーツの上からでも解ってしまう。

(本当、知らない男の人みたい)

ある種のドキドキが胸に去来してどうしたものかなと戸惑っていると

「何夫以外の男に照れているんだ」
「っ」

ポカンと軽く頭を小突かれ我に返った。

「俺が茶の準備をしている間に嫁を口説くんじゃないよ、陽生」
「ははっ、そんなんじゃないよ──というか遅くなっちゃったけど結婚、おめでとう」
「ありがとう…陽生ちゃん」
「本当遅いけどな」
「もう、朔、ひと言余計」
「なんでだよ、紅実だって色々愚痴っていただろう」
「ちょ、そんな事今云わなくたって──」
「…本当に結婚、したんだね」
「え」

朔と云い合っているとちいさく聞こえた陽生ちゃんの言葉に視線を向けた。

「いや…僕はふたりが付き合っていると知った時もなんだか不思議だなって気がしていて」
「不思議?」
「だってあんなに仲が悪かったのに…高校生になってから何があってそうなったのかなって。不思議でしょう」
「…」

(そっか、陽生ちゃんには高校生になってから付き合い始めたって云っていたっけ)

本当は中3の秋からだった。

少しずつ心を通い合わせて近づいていって知って、そして──

「不思議じゃねぇよ。なる様になっただけだ」
「…なる様に…ねぇ」

(…あれ?)

朔と陽生ちゃんが会話をしているのを傍から見ていた私は少し違和感を感じるようになっていた。

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