出だしはちょっと気まずいものだったかも知れないデートは思いの外愉しかった。

水族館なんて高校生の時課外授業で来て以来だった。

水族館という雰囲気は好きだったけれど、特に魚好きという訳ではなかったから見て回る行為は余り愉しめないかも知れないと思っていた 。

だけど恭輔と手を繋いで水槽を回るのがこんなに愉しいとは思わなかった。

恭輔が展示されている魚について知っている限り説明してくれるのを感心しながら訊いた。

展示の仕方も昔とは違って光や水流による効果でまるで絵画のような美しさがあって、時間を忘れて見惚れてしまった。

(はぁ…どうしよう…すっごく愉しい!)

お昼ご飯を水族館内のレストランで摂った後、イルカとアシカのショーを愉しんだ。

こんな如何にもなデートは初めてで、私は心底この時間が愉しくて幸せだと実感した。



やがて陽が暮れかかった頃、水族館傍の公園を歩いていた恭輔が繋いでいた手をギュッと強くした。

「どうしたの?恭輔」
「…あのさ、云い難いんだけど…」
「うん」
「…そろそろ家に…行かない?」
「…ぁ」

向けられた艶っぽい恭輔の視線に、云われた言葉の真意が窺えて顔に熱が集まるのを感じた。

「もう…そろそろ限界」
「…」
「ずっと杏奈の愉しそうな顔とか嬉しそうな仕草見ていたら…早く抱きしめたいって思っちゃって」
「…」
「俺、がっつき過ぎ?こんな俺、嫌い?」
「…嫌いな訳ない」

私も恭輔と繋いでいた手をギュッと握り締めた。

「私も…ギュッとして欲しいって思っていた」
「っ、杏奈」

人が大勢いる中でも私の中で少しずつ膨らんでいた熱。

一緒にいる恭輔とはしゃぐ度に、あの時の行為とのギャップが見え隠れして堪らなくなっていた。

「恭輔が…欲しい」
「!」

素直な気持ちを口にした瞬間、恭輔が私の腕をグイッと引っ張った。

「えっ?!」
「~~~ダメだ…限界!」
「え、えっ?恭輔っ」

私は恭輔に手を引っ張られ、縺れそうになる足を気にしながら其の勢いのままついていった。


ガチャン

(え…嘘)

恭輔が私を連れ込んだのは公園内にあるトイレだった。

多目的トイレに私を押し込めて直ぐに背伸びして私にキスをした。

「んっ」
「ん、ん」

初めから激しいキスをされ、私は何も考えられなくなった。

口を開けさせられ、恭輔の熱い舌が私の口内を容赦なく抉る。

「ん…ぁ、んん」
「はぁ…んっ、ん、ん」

貪る様なキスが続いて、思わず下半身に力が入らなくなり思わず崩れ落ちそうになった。

「あっ」

床に座ってしまう──と思った瞬間、私の体は恭輔の腕によって支えられ、其のまま蓋のしてある便器の上に座らされた。

「はぁはぁ…きょ…恭輔」
「…ごめん…家まで…もたない」
「え」
「杏奈…」
「…」

座った私の両脚を広げ、間に恭輔が入り込んだ。

「杏奈…したい」
「っ、こ、此処…で?」
「…うん」

突然云われた恥ずかしい言葉に一瞬驚いて絶句してしまったけれど、恭輔の熱に浮かされたような視線に射止められてしまって、私の方こそ我慢出来ないくらい恭輔を求めてしまったのだった。

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