思いがけず龍が私の元に来てくれた事により私の憂いは薄らいで行った。

と、同時に龍からもたらされた胸の高鳴りは私を妙な気分にさせて行った。

其れは龍も同じだったようで……




「んっ」
「あ…はぁん」

触れるだけのキスから始まった熱の渡し合いは其のままお互いの奥深くまで触れ合う行為へと発展して行った。

私の使っていた客間のベッドの上で貪る様に求め、応え、そして快楽のまま其の身をとことん溺れさせた。




「…歌也ちゃん、大丈夫?」
「……ぅん」

龍の際限ない激しさについて行くのがやっとだった私も、少しずつだけど応える事が出来ていた。

行為最中は本能のまま乱れてしまって羞恥心を感じる暇もなかったけれど、終わって少し冷静になると色々恥ずかしく思ってしまい顔を赤らめてしまう。

「歌也ちゃん、顔が赤い」
「…だって…あんな事…しちゃうなんて…」
「うん…色々しちゃったね」
「~~~」

龍はとてもスッキリした顔をして私をギューッと抱きしめる。

「好きだよ」
「…ん」
「歌也ちゃんが…歌也ちゃんだけが大好き」
「…私も、龍が好き」


落ち込む事があっても

哀しむ事があっても

悩んでどうしようにもなくなってしまう時があっても

(龍が傍にいてくれたら私…乗り越えられる)

改めて今、私の隣にいる愛おしい存在に救われている事実に心から感謝したのだった。





「お、復活したか」
「顔を見て開口一番が其れなの」

たっぷり愛情を補給した私と龍はマンションを後にし喫茶店に行った。

迎えてくれた父がやけにニタニタしているのが気に食わなかったけれど、厭味を云うほど毒づいていなかった私は其のままカウンター席に座った。

「大学に行く前に寄ったの。龍が喫茶店に行くからって云うから」
「武也さん、店番ありがとうございました」
「おい、いつから立場が逆転したんだ。此処は元からオレの店だ」
「…あ、そうでしたね。いつも俺が店番しているので勘違いしていました」
「龍~~云うようになったな。一発抜いて絶好調って感じか」
「っ! お父さん、言葉!下品過ぎ!」

いきなり何を云うかと思えば其の余りにも明け透けな発言に慌てふためいた。

なのに

「一発じゃないです。さん──」
「りゅゅゅゅゅうぅぅぅ──!!」

(な、何云おうとしてるのよっ)

父の言葉に負けず応えようとする龍の暴走振りが心臓にとても悪い。

「あ~~朝っぱらから元気だなぁ、おまえら」
「若いので仕方がないですね」
「…お願い…もう何も話さないで…」

未だに続く父と龍の掛け合いは私にとって公開処刑に近かった。

(でも…)

父が普段通りでよかった。

反対に深刻な顔で出迎えられて、私の出生に関して何か補足しようものならまた色々考えて気持ちが落ちてしまっていたかも知れなかったから。

母の方も出かける前はいつも通りだった。

あの話は昨日で終わった事なのだ、其れだけで済む様な話なのだと云われているみたいで何処かで安堵していた。

(こんな感じでよかったのかも)
 
そう思うと私は両親から特別な愛情をもらっている様な気がして心の中には幸福感が溢れていたのだった。

王子様の作り方
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