鳴ったインターホンに出ると 

『歌也ちゃん、俺』

「え、龍?!」

カメラ画面に映ったのは紛れもなく龍だった。



「お邪魔します」

開錠して家に上げた龍は私の顔を見て少し顔をしかめた。

「どうしたの、龍」
「歌也ちゃん、寝ていないの?目の下、薄っすら隈が」
「あ…」

顔を洗う前で自分がどんな顔をしているのか解らなかった私は龍によって現状を知った。

「大丈夫?なんだか元気がないよ」
「私は大丈夫だよ。其れよりなんで此処に龍が?」
「朝、佳澄さんから連絡もらったんだ」
「え、お母さんから?」
「うん」
「なんで」
「…其の…歌也ちゃんが落ち込んでいるかも知れないから慰めてやってくれって…」
「えっ」

(お母さん、いつの間に~~!)

勿論母も私と龍が付き合い始めた事を知っていた。

私と龍の事で周りの人間が知らない事はないんじゃないかと思うほどに色んな事があっという間に知られるのにはすっかり慣れてしまっていた。

(慰めてって…昨日の事で私がまいっているってバレバレなのか)

一緒に住んでいなくても流石母親だなと思いながらも、わざわざ龍を呼ばなくてもいいじゃないかという気持ちもあった。

「歌也ちゃん」
「っ」

急に後ろから抱きしめられてドキッとした。

「ちょ…龍」
「俺…気の利いた言葉で慰めるのって苦手なんだけど…」
「…」
「言葉じゃなくて態度で…歌也ちゃんの傍にずっといる事で慰める」
「…龍」
「ごめんね、俺も訊いたんだ…歌也ちゃんの生まれた経緯」
「え」
「武也さんに佳澄さんから歌也ちゃんに出生の秘密を話したような連絡があったみたいで」
「お父さんから訊いたの?」
「うん…でも俺、其の話を訊いても歌也ちゃんの事が大切って気持ちに変わりはないよ」
「…」
「何も揺るがない」
「…」
「歌也ちゃんがどうやって生まれて来たなんて関係ない。ただあの時、武也さんと佳澄さんが赤ちゃんが欲しいと思った気持ちは本物だった」
「…」
「ふたりの其の気持ちがあったから歌也ちゃんは生まれて来て、そして俺は歌也ちゃんに出逢う事が出来た」
「…」
「こんな奇跡みたいな事…俺、嬉しくて仕方がないよ」
「…龍」

(あぁ…なんだかなぁ…もう)

後ろから抱きしめられて、龍の顔が見えなくても紡がれる言葉ひとつひとつに心が晴れやかになって行く。

「歌也ちゃん…」
「ありがとう…龍」

私は龍の腕を少し緩めて振り返った。

龍と顔を合わせて益々ホッとした気持ちになった。

「…大丈夫?」
「うん…龍に慰められて元気になったよ?」
「そっか…よかった」
「…」

にっこりと笑う龍が余りにも眩しくて、私の胸は高鳴ってしまった。

王子様の作り方
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