父と母の関係は其れとなく知って、理解しているつもりだった。

男と女としての恋愛感情はなくても私が生まれた時ぐらいは其処に愛があったんじゃないかと──

(そう、ずっと思っていたんだけどな…)

母の家の客間のベッドで何度目かの寝返りを打った。

母から訊かされた本当の出生の秘密を知って動揺している私がいた。

セックスをしなくても子どもを作る事が出来るのだと知った時、なんだか工作みたいな事をして赤ちゃんを作った様な感じがして妙な気持ちになった。

父と母は一切体の交わり合いがない状態で私を作った。

其れは私にとってかなり衝撃的な事だった。

(私…本当にみんなと同じ…なの?)

最後に母が云った様に、ふたりからの愛情は人並みに──ううん、ひょっとしたら其れ以上与えられて来たのかも知れない。

決して悲観する事ではないと思いながらも余りにも突然の真実だったから脳内が混乱していたのだった。




「あぁ、おはよう、歌也」
「…何しているの、お母さん」

翌朝、ぼんやりとした頭のままでリビングに行くと母がスーツを着込んでいた。

「何しているのって仕事に行くに決まっているでしょう」
「仕事って…体は」
「歌也の看病のお蔭ですっかり良くなったわよ」
「…」

(看病って…おかゆ作っただけじゃない)

少し腑に落ちなかったけれど、母の顔色は昨日より良くなっていた。

「まるっと三日間休んじゃったからねーいい加減仕事溜まっちゃってるのよ」
「急に無理したらぶり返すよ」
「解ってる、ちゃんと気を付けるわよ。ありがとうね、歌也」
「…うん」

慌ただしく出勤の支度をして玄関に向かって行く母を見送る。

「歌也、今日大学は?」
「今日は午後から」
「そう。じゃあゆっくりして行きなさい」
「うん」
「じゃあね~」
「いってらっしゃい」

母はにこやかに出かけて行った。


(はぁ…)

私はといえば寝不足から来る頭痛が少しあって気分的にはよろしくなかった。

昨日の事が何となく何処かに引っかかっている。

ちいさな時から他の家族とは違うって解り切っている環境で過ごして来たのだからちょっとやそっとの事では落ち込んだり揺るがない自信はあったけれど…

(…そうか…処女でも子どもって出来たり産んだり出来るんだ)

そんな聖母マリア的な考えをするとちょっと自分という存在が不思議に思えてしまう。

(そうだ、お母さんの其の発言がインパクト強過ぎて驚いただけで…)

どうしてもひとりになると色々考えてしまう。

「あーもう!」

私は頭をガシガシと掻いて、両手で頬をパンッと叩いた。

「とりあえず此処を片付けて一度家に帰ろう!」

そう決意して顔を洗うために洗面所に向かおうとした処でいきなりピンポーンとインターホンが鳴った。

王子様の作り方
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