結局三杉さんとは告白のお断りという話以外の、恋愛に関する壮大な話で盛り上がり、気が付けばカフェに入ってから二時間ほど過ぎていた。


「遅くなってしまって申し訳ない」
「いえ、とても愉しかったです」
「…まさか告白を断られた相手と恋愛理論で盛り上がるとは思わなかったな」
「其れは私もそうです」

カフェを出て、駅に向かいながらまだ話し足りないとばかりに会話は続いていた。

「なんだか…僕と高科さんは似ているのかも知れない」
「え」
「あ、変な意味じゃなくて、雰囲気というか気質というか…恋愛云々を抜きにしても一緒にいると気の置けない相手というか…」
「…」
「其れ、最初に逢った時から感じていたんだよね。だからかな、高科さんが気になってもっと一緒にいたいと思って…つい事を急いて告白しちゃったのかも」
「…三杉さん」

其れは私も思っていた感情だったから驚いた。

私の事をある程度知っている相手──というだけではない安心感が三杉さんに対してあったのは事実だった。

「あの…もしよかったらまた逢ってくれないかな」
「え」
「勿論変な意味じゃなくて。フッたフラれた関係で気まずくなるんじゃなくて、其の…話の合う友人のひとりとして、涼花さん共々これからも付き合ってもらえると嬉しいなと思ったんだけど」
「…」

(そんな風に思ってくれるだなんて)

一時でも恋愛感情を持った相手に拒否された時、私の知る限りではいい友人関係とやらには発展しなかった。

だけど三杉さんはそうして欲しいと一点の曇りのない表情で云ってくれたのだ。

「駄目、かな」
「…いいえ、嬉しいです」
「!」
「是非、これからもよろしくお願いします」
「あ、ありがとう。ははっ…嬉しいな」
「…」

はにかんでいる三杉さんを見ているとどうしても願ってしまう。

(本当にいい人)

こんなにいい人なんだからきっと彼に似合う素敵な人が現れるよね──?

(現れます様に…)

駅に着いて別れ際大きく手を振ってくれる三杉さんを見つめながらそう思ったのだった。




「歌也ちゃん!」
「!」

自宅最寄り駅に着き、改札を抜けて直ぐに声を掛けられギョッとした。

「歌也ちゃん、無事だったんだね」
「龍?…何よ、其の無事だったって」
「あ…あ、いや…其のこんな暗い中、ひとりで帰って来て…という意味で」
「暗いって…こういうの初めてじゃないし何も危ない事なんて──」
「俺が心配なの!」
「っ」

いきなり腕を引っ張られ龍の腕の中に閉じ込められた。

「ちょ…!な、何天下の往来で恥ずかしい事をっ」

改札口を行き交う人々の向けられる視線が痛かった。

(きっとバカップルって思われている!)

余りにも恥ずかしい気持ちでいっぱいになり、龍の腕から逃れようともがくけれどビクともしなかった。

(なんでこんなに強く…?)

確かに周りは暗く、龍にとっては私がひとりで自宅まで歩く事に不安な気持ちになるのかも知れないと思ったけれど…

(今までだってこういうの何度だってあったのに)


恋人同士になるという事はこういう感じになるのかな、なんて思い、恥ずかしながらも龍の気が済むまで抱きしめられていたのだった。

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