夜の公園での告白大会から数日。

私と十六澤はみんながいる処では今までの様な関係で居続けた。

特に陽生ちゃんの前では気を使った。

「だって…なんか恥ずかしいもん」
「まぁ、な。急に付き合う事になったっていったって…根掘り葉掘り訊かれそうだしな」
「うん…」

お互い陽生ちゃんに付き合い出した報告をする事に気が引けた。

私的には頼れるお兄ちゃん的存在である心の家族の一員である陽生ちゃんに隠し事はしたくなかったけれど、やっぱりこういう事を告げるには勇気が要った。


「あ、そうだ。今日、家に来てくれないか」
「え」

陽生ちゃんが一緒でない下校。

ほんの少しだけ先を行く十六澤が前を見たまま云った。

「やっと今日、家に誰もいないから」
「そ、そっか…うん」
「其れ、OKって事?」
「…って事」
「そっか」
「…」

変な事は何もしない──と云った十六澤だったけれど、やっぱり家に誰もいない処にふたりになる事が少しだけ緊張した。



「…おじゃまします」
「誰もいないって」
「こ、こういうのは一応…礼儀」
「ふぅん、そういうもんかね」

十六澤の家に着き、玄関で挨拶しながら靴を脱いだ。

「俺の部屋、二階の突き当り。先に行っていて」
「え」
「飲み物用意するから」
「あ、お構いなく」
「俺が飲みたいの」
「あぁ、そ、そっか」
「…なぁ」
「! はい」
「…緊張し過ぎ。本当、何もしないから」
「…ぁ…うん」

(恥ずかしいな、なんか見透かされている)

まるで十六澤の事を信じていないみたいで少し申し訳ない気持ちになってしまった。


階段を上がり、云われた部屋におずおずと入る。

「お邪魔しまぁす…」

勿論誰もいない部屋に向かって云う。

(此処が…十六澤の部屋)

初めて入った男子の──というか彼、の部屋にドキドキし過ぎて口から心臓が飛び出そうだった。

(…意外に綺麗──というか)

部屋の中は必要最低限の物しか置かれていなかった。

勉強机にベッドに本棚。

備え付けのクローゼットにローテーブルだけの簡素な部屋だった。

(部屋の広さ、多分私の部屋と同じくらいなんだろうけど…もっと広く感じる)

そんな事を考えていると背後のドアが開く音がした。

「ん?何突っ立ってんの」
「あ…えーっと…観察」
「観察って…何もないだろう」
「…うん、ないね」
「ほら、座布団。其処座って」
「うん」

勧められた場所に座り、テーブルに置かれたグラスを手に取った。

「アイスレモンティー、好きだったよな」
「うん、好き。よく知っているね」
「…まぁな」

そう云うと少しだけ視線を外した十六澤。

(あ、耳が赤い)

何を照れているんだろうと思ったけれど、直ぐに

「あれ?そういえばなんで私がアイスレモンティー好きだって知っていたの?」
「~~~」

私がそう訊くと益々耳が赤くなった。

「…もしかして…私の事…よく見ていた?」
「っ」
「好きな食べ物とか、色とか、動物とか…知っていたりする?」
「…」
「ねぇ」

相変わらず耳を赤らめ視線を外したままの十六澤が妙に可愛くて私の中でちょっとした悪戯心が湧いてしまった。

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