誰もいない薄暗い公園の一角で盛大な告白大会が繰り広げられていた。

「ほ…本当か?」
「…」
「おまえ…俺の事、を…」
「……」
「~~~な、なんだよ!」
「っ?!」

俯いていた顔ごと体をギュッと抱きしめられた。

「お、お、おまえ…俺のもの」
「!」
「おまえの事、思いっきり好きになってもいいって事、だよな」
「…」
「な」
「……ぅん」

十六澤の少し上擦った声につられて私も若干鼻声になって応えた。


まさか十六澤とこんな関係になるとは思わなかった。

つい数分前までは…

本当に思わなかったのだ───





静かな住宅街にふたり分の靴音が響く。

少しだけ先に歩く十六澤の後ろ姿を凝視してしまう。

(背中…広いなぁ)

暗くなった公園にいつまでもいる訳にもいかなくて、今日はとりあえず解散という事で其々の自宅に向かっている処だ。


「あの、さ」
「っ、はい!」

前を向いたまま十六澤が声を掛けた。

「…そんなに構えなくても」

少し立ち止まって私の方を向いた十六澤の顔は街灯の下でほんのり赤くなっていた。

「ごめん …何?」
「…俺の事…知りたいん、だよな」
「…うん」
「全部」
「……うん」
「じゃあさ…全部話すから…家に、来ないか」
「え、今から?!」
「あ、いや今日じゃない。えーっと…家に誰もいない時」
「……は」

(家に誰もいない時って…其れって…)

よからぬ想像をして顔がカァと熱っぽくなった。

「え……! あ、違う!べ、別に変な事とかしねぇぞ!ただ家に誰もいない方が話し易いっていうか…都合がいいっていうか」
「…」

初めて見た必死になっている十六澤になんだか緊張感が解けて来た。

「だから、其の…」
「…うん、解った」
「…ぇ」
「十六澤の都合のいい時に…誘って?」
「…」
「私、いつでも行くから」
「~~~お、おまえって」
「? どうしたの、十六澤」
「…いつも…そうしていろ」
「は?」
「其の…つんけんしていないで…なんかこう…素直で柔らかく…陽生といる時みてぇな…」
「…」
「俺は…そういうおまえが…より、一層…」

みるみるうちに十六澤の顔が濃く赤らんで行く。

(うわぁ…こんな十六澤…初めて)

今まで知らなかった十六澤の色んな顔が見られる度に胸がキュンキュンと高鳴った。

「…だったら…十六澤も私に…優しくしてよ」
「え」
「私、本当は…あ、甘やかされたい…タイプだから」
「…」
「十六澤が優しかったら…私だって…」
「…そ、そっか」

十六澤がそう呟く様に云ったきり、私たちは無言になった。

だけどふたりの間に流れる空気は気まずいものではなく、何も話さなくても安心出来る心地よいものだった。

ままごとマリッジ
★ランキングサイトに参加しています。
其々1ポチずついただけると執筆の糧になります。

恋愛ランキング
にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村