中学生でファーストキスを済ませる子は割と沢山いた。

周りの友だちの恋バナではそんな話をよく訊いていたし、もっと過激な体験を済ませた子もいた。

だから私もいつかみんなと同じような事をする日が来るのだろうかと漠然と思っていたけれど、そういう事をしてもいいと思える相手には恵まれなかった。

陽生ちゃんの事は大好きだったけれど、何故かそういう対象には見れなかった。

陽生ちゃんとキスしたいか──なんて考えても、余り想像出来なかったし、そういう想像をしてはいけないような気がしていたから。


でも今──


「はぁはぁ…あ…はぁ」

ようやく放された唇がジンジンと痺れていた。

(キス…しちゃった…)

よりにもよって一番考えられないと思っていた相手とのキスに戸惑っていた。

「…悪かった…いきなり…」
「…」
「でも…おまえも悪い」
「…え」
「俺の事、嫌いなら…なんでいつも、そんなに構うんだよ」
「…」
「ギャーギャー云う癖に気が付いたらいつも傍にいたり…気に掛けたり…」
「…」
「初めて逢った時から…最初の時から俺に近づいて来て…俺の事、知りたそうにして…」
「…」
「そんな、そんな風にされたら……す、す…好きに、なってしまうだろうが!」
「?!」

(えぇ…今…今…十六澤…)

「おまえの事…好き、だけど…おまえ、何処からどう見ても陽生の事が好きで…全然勝ち目ねぇって諦めようとしても…でも全然諦められなくて」
「…十六澤」
「今日、帰り道で陽生に云っていたおまえの気持ちを訊いて…やっぱりそうだって思ってへこんでも…またこうやって俺の傍に来たりして…なんか訳の解らない事喚いてよぉ」
「…」
「こっちがいい加減にしてくれだよ!おまえ、本当は俺の事、どう思ってんだよ!」
「!」

(私は…十六澤の…事を…)


陽生ちゃんに感じる様な好き──ではない。

逢えば喧嘩ばかりしていて…

でも其れは十六澤が自然と視界に入ってしまって、いざ話し掛けても突っかかって来るから私も其れに対抗する形で喧嘩腰になってしまって…

でも…

穏やかに話す十六澤を知った途端、私はずっとこうやって普通に話したかったんだって事に気が付いて…

そして十六澤が成長する毎に変わって行く様が眩しくて…

密かに胸を焦がしていた。


(先刻のキスだって…)


突然された癖に私は…


(嬉しいと──思ってしまっ…た?)


「おい」
「…しい」
「え」
「~~悔しいぃぃぃ」
「な、なんだよ、何が」
「もうとっくに…あんたの事…十六澤の事、好きだったわよ!」
「!」
「好きだから…あんたの事、知りたいと思った。あんたのやっている訳の解らない事が気になって…解りたいと思っていた」
「…」

其れは一度自覚してしまえば実に単純な事だったのだ。

ままごとマリッジ
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