(な、なんで…なんで今、私…十六澤に抱かれているの?!)

現状がよく解らなくて体が固まってしまっている。

でも不思議と暴れて逃れようという気持ちにはならなかった。

「おまえって…本当変な女」
「…え」
「最初っから…変な女だった」
「…」

(変な女って…絶対褒めていないよね?!)

少し怒れてしまったけれど其れでもやっぱり抱き寄せられている腕から逃れようとは思えなかった。

「…おまえさ」
「な…何」

耳元で低く囁かれる様に放たれる言葉がくすぐったかった。

「陽生の事、好きなんだよな?」
「……え」

其のひと言で私はようやく十六澤からの拘束に抗った。

放された体は地面に膝をついてベンチに座っている十六澤を見上げる形で見つめた。

「…陽生の事、好き…なんだよな」
「…」

もう一度云われた言葉の答えに詰まった。


(好き…?私、陽生ちゃんの事…が?)

勿論陽生ちゃんの事は好きだ。

いつも一緒にいて欲しいと思っているくらいに自慢の幼馴染み。

(でも…多分…)

今、十六澤が訊いている『好き』は───


「どうなんだよ」
 「え…あ、あの…」
「なんで即答出来ない訳?」
「…好きかどうかって…考えた事…なくて」
「は?」
「だって今、十六澤が訊いている好きって…恋愛関係の…好きって事なんでしょう?」
「当たり前だろう、他にどんな意味があるんだよ」
「だから、そういった意味で…陽生ちゃんの事、考えた事…なくて」
「…」
「陽生ちゃんの事は好きだよ。ずっと一緒にいた幼馴染みだもん。頭が良くてカッコよくて…優しくて頼り甲斐があってずっと一緒にいたいって思っているよ」
「…次から次とよくもまぁベラベラと」
「え」
「そんな御託はいいから好きかどうかって訊いているんだよ」
「だ、だからそういう意味では好きだけど、でも…恋愛としてって…どんななのか…」
「陽生とキスしたいって思うのか?」
「えっ?!」

其の瞬間、私の唇を掠める様に十六澤の唇が重なった。


(─── え)


一瞬の事で何が起こったのか解らなかった。


「…陽生とこういう事したいって…思うのかよ」
「…い、今…今…」
「俺は、おまえにしたいって…思った」
「!」

暗くてよく解らなかったけれど、きっと十六澤は照れた顔をしているのだろうと、其の声色から窺えた。

「キスしたくて…其れ以上の事も…したいと思える相手なのかって…そういう好きなのかって訊いている」
「…ど、どうして…十六澤…」
「~~~いい加減、解れ!」
「っ」

もう一度唇に熱いものが押し当てられた。

少し放れてはまた押し当てられて…

気が付けば私の唇は十六澤に食べられる様に何度も形を変えてしまっていた。

ままごとマリッジ
★ランキングサイトに参加しています。
其々1ポチずついただけると執筆の糧になります。

恋愛ランキング
にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村