どうしても直接話したかった。

だから思い切って直接十六澤の家までやって来た。


『まぁ、朔くんの?』

(え?朔…くん?お母さんじゃないの、かな)

てっきり十六澤のお母さんが出たと思ったけれどちょっと変だなと思った。

『ごめんなさい、朔くん、今公園に運動しに行っているの』

「え、公園、ですか?」

『えぇ。何か託(コトヅケ)があるならわたしが訊きますけれど』

「いえ、大丈夫です。公園に行ってみます」

『えっ、もう暗くなるわよ?危ないんじゃ』

「近所なので大丈夫です、ありがとうございました」

其れだけを云って私はインターホンから離れた。


(また公園に行っているの?)

でも今日は真っ直ぐ家に帰っていた。

(帰ってから公園に行くって場合もあるのか)

どうして十六澤がそんなに公園好きなのか解らないけれど、とりあえず私は公園へと急いだのだった。




「はぁはぁ…はぁ…」

乱れた息を整えつつ公園に入る。

随分薄暗くなっていて公園内に設置されている2つの電灯では公園奥までは見通せなかった。

(此処からじゃ見えないけれど多分…)

いるなら多分あそこだろうと思いつつ公園内のトイレ目指して歩いて行った。

トイレを過ぎ、以前ふたりで座った事のあるベンチのある奥まっている場所を目を凝らしてみると

「いた!」
「!」

思わず大声を出すとベンチに座っていた十六澤がビクッと体を揺らした。

「お、おま…なんだよ、いきなり」
「十六澤こそこんな暗い処で何してるのよ」

十六澤は特に何をするでもなく、ただ頬杖をついてボーッとしていた。

「其れはこっちの台詞だ。なんでおまえが此処にいるんだよ」
「十六澤の家に行ったら公園にいるって家の人が──」
「は?家に行ったのか、おまえ」
「行ったよ。インターホンに若い女の人が出たけど…あんたってお姉さんとかいたっけ」

私が何気なく訊いた言葉を受けた瞬間、十六澤は大きく舌打ちをした。

「!」
「…来るなよ…ったく」

酷く苛立った様子の十六澤に私は何か悪い事をしたのかと思った。

思った途端に何故か目頭が熱くなった。

「? …おい、おまえ」
「~~~して…」
「は?」
「どう、して…あんたは…あんたは訳が解らないのよ!」
「?!」

意志とは関係なくボロボロと目から涙が出て来て仕方がなかった。

「小学生の時から解らなかったわよ!なんでまっすぐ家に帰らなくて公園に何時間もいるのか」
「…」
「話し掛けているのに全然素っ気なくて、自分から壁を作っている様な感じとか」
「…」
「其の癖陽生ちゃんには懐いていつもベッタリくっついていたりして」
「…」
「今日だって…今日だって…なんであのタイミングでいたのよ!」
「…」
「聞かなくてもいい事を聞いて…なんか、云いたくなかった事を云っちゃったじゃない!」
「…」
「解んない!全然解らないよ、あんたの事っ」
「…」
「解らないから…解りたいって思っているのにぃぃ~~」

堰を切った様に次から次へと今まで溜め込んでいた訳の解らない気持ちが溢れ出す。

「い…いい加減にしな、さいよぉ~~」
「ばく」
「っ」

いきなり腕を取られて引っ張られた。

其のまま座っている十六澤の体に吸い込まれる様に収まってしまい一瞬頭が真っ白になった。

(え…え、え、え?)

収まった私の体に十六澤の両腕が絡まってギュッと強く抱きしめられてしまった。

ままごとマリッジ
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