十六澤と同じクラスになった事で私たちは小学生の時のように顔を合わせれば厭味を云い合う関係が復活していた。


「げっ!なんだよ、おまえの隣かよ」
「其れは私の台詞よ!」

席替えのくじで運悪く隣同士になったのをきっかけに犬猿の仲は益々拍車をかけた。

そんな私たちをクラスメイトたちは喧嘩するほど仲がいい──的な受け取り方をしていて、遠巻きに生温かい目で見守られる事になる。



「もう、本当厭になる!なんであんなに口が悪いのよ!」
「まぁまぁ、そんなに怒らないの──其れに、少し静かにね」
「…はぁい」

夏休み前に生徒会を引退した陽生ちゃんはようやく自由になる時間が出来ていた。

とはいえ私たちは受験生だったから夏休みは受験勉強に明け暮れる毎日を過ごす事になる。

そんな休日、私と陽生ちゃんは図書館で勉強をしていた。

「紅実はもう何処の高校を受験するか決めたの?」
「うん…まぁ。どうあがいても陽生ちゃんと同じ高校に行く事は無理だから無難な処にね」
「そうか…一緒の高校は無理、か」
「無理だよー偏差値72の処なんか絶っ対無理!」
「だから静かに」
「~~~」

再三注意され、私は顔を赤らめた。

陽生ちゃんは将来両親と同じ医療の道に進みたいという希望があった。

だから勉強を頑張って来たから高校も此処等では一番の進学校を受験する予定になっていた。

私といえば陽生ちゃんと比べて頭がいい訳ではなかったので、合格圏内の公立高校に行く事を決めていた。

(陽生ちゃんみたいに明確な将来の夢なんてなんにもないしなぁ)

幼稚園の時から続けているピアノが活かせる職業にでも就ければいいかな、程度の展望しかなく、かといってピアニストなんて大それた夢は抱いていなかった。


「そういえば話は変わるけど、今日サッカー部の引退試合があったの、紅実知っていた?」
「引退試合?知らない、そんなの」
「いつも朔と一緒にいるのに訊いていないの?」
「はぁ?いつも一緒になんていないわよ。ただ同じクラスだってだけで」
「そう?僕が見かけるといつも何かしら喋っているのに」
「だからあれはいがみ合っているだけよ。十六澤って私の顔を見る度に突っかかってくるんだもん。本当厭になる」
「ふふっ」
「…何笑っているのよ、陽生ちゃん」
「いや、紅実と朔は昔から変わらないなぁと思って」
「あいつがいつまで経っても子どもなのよ」
「そう?まぁ…一般的に女性の方が精神的成長が早いっていうしね。男は図体だけ大きくなって中身空っぽって事が多いかな」
「あ、陽生ちゃんは違うよ?陽生ちゃんは中身も外見もちゃーんと成長しているから」
「紅実にはそう見えるんだ」
「見える。いつだって陽生ちゃんは私にとって頼もしい幼馴染みなんだから」
「…そっか、幼馴染み、ね」
「うん」

其れは私の心からの言葉だった。

陽生ちゃんは私にとって自慢の幼馴染み。

陽生ちゃんとずっと一緒にいられれば私は幸せなんだと思っていた。


───ずっと一緒にいられると…そう思っていた

ままごとマリッジ
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