「な…な、な、な…」


(なんでぇぇぇぇぇ──?!)


校庭の片隅にあったクラス分けの掲示板を見て、其の余りにも理不尽な振り分けに心の中で絶叫した。

「あ、紅実、おはよーん」
「~~~あ…有…紗」
「まっ、なによ其のゾンビみたいな顔」
「だ、だって…だってだってだってぇぇぇ~~」

いつもならいちいち有紗の失礼な言葉にツッコミ、怒っていた私だったけれど、今の私にはそんな事を気にする余裕もなかった。

「ははーん、小路くんとクラスが分かれている事に落胆しているのね」
「っ!」
「残念ねぇ~あ、ちなみにあたしは同じクラスになれたよん」
「!!」
「ごめんね~でもこればっかりはあたしの陰謀で出来る事じゃないから恨まないでねぇ」
「 ~~~」
「あ、でも十六澤くんとは同じクラスになれたじゃない。よかったわね」
「~~~~ゃ」


(いやぁぁぁぁぁぁぁぁ──!!)


なにが厭って其れよ!


勿論陽生ちゃんと同じクラスになれなかったのは残念だし悲しかった!!


でも…


でもでもでも…


(だからってよりにもよってなんであいつと同じクラスになんかに──!!)


心の中に膨れ上がった絶叫を思い切り口に出して吐き出したかった。

でも此処には大勢の生徒がいる。

そんな事は出来るはずもなく、ただ肩を落とし項垂れるだけだった。

「紅実」
「……っ」

ポンと背中を叩かれた弾みでハッとした。

「どうしたの?なんか元気ないね」
「! あ…陽生ちゃん」
「今日も一緒に登校出来なくてごめんね。大丈夫?何処か具合が悪いんじゃ」
「う、ううん…大丈夫」

そう。

陽生ちゃんとは中学校生活が進むにつれて小学生の時の様に一緒に登校出来る機会が少なくなっていた。

何かしらの委員会や生徒会役員をやっていた陽生ちゃんとは時間がズレる事が多くて、ただでさえクラスも違うから余計に一緒にいる時間が減っていた。

其れは十六澤にもいえた事だった。

十六澤はサッカー部に入部してから朝練やら放課後の練習やらでめっきり登下校の時間帯がズレていたのだ。

たまに学校で会っても、陽生ちゃんが間にいなければ進んで接触しなかったのでかなり疎遠になっていた。

「そう、大丈夫ならよかった──あ、じゃあ僕、戻るね」
「え、ひょっとして陽生ちゃん、私の事を心配して来てくれたの?」
「まぁね、全校集会の準備でウロウロしていてたまたま項垂れている紅実が見えたから」
「…」
「じゃあね」

(陽生ちゃん…)

にこやかに手を振って行く陽生ちゃんに周りにいた女子はきゃあきゃあ云いながら湧いていた。

(やっぱり優しい…陽生ちゃん!)

「あーあ、相変わらず大事にされているねぇ、紅実ってば」
「え?」
「こんなに生徒がいっぱいいる中で紅実だけが見えるとか…妬けちゃうんだけど」
「そ、そう?」

有紗のため息混じりの言葉を訊いて、へこんでいた気持ちが少し浮上した。

(…うん、私、なんとか頑張れそう)

不確かな向上心が湧き、小さくガッツポーズを取った私の後頭部にいきなりトンッと何かが乗った。

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