陽生ちゃんのお父さんは勤務医として働くお医者さん。

お母さんも看護師として同じ病院で働いている。

そんな家庭環境にいるからか陽生ちゃんは頭がいい。

勉強が出来てスポーツも万能。

性格が良くて優しくて面倒見がいい。

だからこそ女子の人気も高かった。

勿論、そんな陽生ちゃんが幼馴染みというだけで甘やかしてもらっている私は女子から妬まれる存在なのだけれど、ちいさい時から陽生ちゃんが

『紅実は妹みたいな存在だから一緒に大切にしてあげてね』

という言葉で酷い苛めや嫉みはなかった。

『妹みたいな存在』と陽生ちゃんは云うけれど…

(誕生日的には私の方がお姉さんなんだけどね)

そんな陽生ちゃんは私にとって頼れるお兄さん的存在で、いつも一緒にいて愉しい存在で、他の子に取られるのが厭な存在。

(…其れは好きって事でいいのかな…?)

みんなが云う様な『好き』の定義がよく解らなくてあやふやになってしまうのだけれど…

(陽生ちゃんとはずっと一緒にいたい)


そう想う気持ちだけは確かだった──






そしてあっという間に小学校を卒業して私たちは中学生になった。


「え、結局誰も選ばなかったの?」
「だって…其れはそうでしょう?そういう事、直ぐには決められないっていうか…」
「はっ、身の程知らずばかりだな」
「ちょっとぉ、横から口出ししないでよ」
「俺の前で話すからだろう。余りにも下らな過ぎて口出ししたくなる」
「乙女の問題を下らないで片付けるな!」
「乙女!ばくが云うと腐るな、其の二文字」
「十六澤ぁぁぁー!」
「まぁまぁ、ふたりとも僕の事でヒートアップしないの」


私と陽生ちゃん、そして…十六澤。

中学生になった私たちはいつの間にか一緒に登校する様になっていた。

私は相変わらず十六澤の事が嫌いだったし、十六澤も私の事が嫌いだ。

でも私たちの間に陽生ちゃんがいたから自然と絡む事が多くなっていた。


「其れで陽生ちゃん、全員にお断りの手紙を書いたの?」
「うん」
「うへぇ~マメだなぁ、陽生は」
「だってみんな誠意のこもった手紙だったんだよ?此方も誠意で返さなきゃ」
「…陽生ちゃんらしい」

中学校に入学した早々、陽生ちゃんは中学で一緒になった他の小学校だった女子数名からラブレターを貰っていた。

其の数12通!

(流石天然タラシ男の陽生ちゃん)

中学生になった陽生ちゃんはグングン背が高くなり、少し大人びいた顏は笑みを湛えただけで万人を虜にした。

(見慣れている私でさえグッときちゃうもんなぁ)

其れに引き換え十六澤は……

ままごとマリッジ
★ランキングサイトに参加しています。
其々1ポチずついただけると執筆の糧になります。

恋愛ランキング
にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村