あの日以来、私は今まで以上に転校生と距離を置く様になった。 

転校生が私に対してどう思っているのか解らないけれど、あの日云われた言葉と態度、そして酷く蔑んだような視線が私に恐怖心を植え付けた。

(もう放っておこう)

変に関わらないでおこうと心の中で決めた。


けれど


「はーい、じゃあ班毎に行動開始してー」


(もう近づかないって決めたのに!)


今日の理科の授業は地層を調べるための課外授業だった。

3~5人の班になって其々割り当てられた断層を調べるというものだったけれど──


「紅実、此処の断層、図にして色付けしてくれる?」
「あ…うん」

こういった班決めの時、私は大抵陽生ちゃんと一緒だった。

だけど今回は其の嬉しいはずの陽生ちゃんとの班が徒となった。

「十六澤、此処の石、何の石か解る?」
「…石の種類なんて知らない」
「だよね…じゃあ大きさで分類しようか」

面倒見のいい陽生ちゃんは何処の班にも入れずにいた転校生を率先して自分の班に入れていた。

其れによって決意とは裏腹に転校生と接する機会が出て来てしまう事になったのだった。


「小路くん、ちょっとこっち来てみて」
「ん?どうしたの」
「これって化石じゃない?ほらえーっと…アンモナイト?」
「あー残念、これはただのカタツムリの殻だね」

「…」

同じ班になった南 有紗(ミナミ アリサ)がやたら陽生ちゃんを構うのが気に入らないと思っていた。

私の浅く広い交友関係のひとりである有紗はいい子ではあるけれど、陽生ちゃんの事に関しては気に入らない処が多々あった。

(露骨なんだもんなぁ…態度が)

「はぁ…なんだかなぁ」

思わず声に出してしまった時

「おい、ばく」

「……は?」

座って断層をスケッチしていた私の頭の上から声が降って来た。

(…ばく?誰の事)

私の事ではないだろうと思いつつも顔を見上げると其処には転校生がいた。

「…ばくって…誰?」
「おまえだ」

顎でしゃくられて、ばくなる呼び名の人物が私だと示していた。

「ちょっと、私は紅実よ。ばくなんて名前じゃ──」
「真柴紅実だろう」
「……は」

早口で『ましばくみ』と云われ、苗字の三文字目と名前の一文字目がくっついて『ばく』になっている事に気が付く。

「ちょ、ちょっと、変な名前で呼ばないでよ!」
「人の後を尾行する様な女の名前なんか其れで充分だ」
「!」

其れを訊いた瞬間、ドキッと胸が飛び跳ねるほど驚いてしまった。

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