「はぁぁぁ~」 

私は大きくため息をつきながら薄暗くなった帰り道を歩いていた。

(今日は散々だった…)

夕方公園から戻った私を母は「遅い!」と叱り、仁王立ちしていた玄関でピアノのレッスンバックを私に渡して急げと急かした。

そんな慌ただしい気持ちのままでピアノを弾いてもミスの連続で先生にこってり絞られた。

(くぅぅぅ~これもぜーんぶ転校生のせいだ!)

よくよく考えれば転校生は私に対して直接的な事をしたり云ったりはしていない。

全てが転校生のせいだと責任転嫁する私はおかしいのかも知れない。

だけど

(意味ありげな行動や表情をするからいけないのよ!)

そうだ、其のせいで私は此処数日おかしくなっているのだと云い訊かせた。

「…」

不意に帰り道にある公園の事が気になった。

(…もう、いないよね)

ピアノ教室を出たのが18時過ぎだった。

(あれから2時間は経っている)

「…」

もういない──そう何度も考えいるけれど、自然と足が公園の方に向いてしまっていた。


公園にある高い時計を見ると18時10分を差していた。

勿論公園に人はいなくて薄暗くなった辺りは一気に雰囲気を変えていた。

(なんか…暗い公園って怖い…かも)

フルッと身震いして、もう帰ろうとした。


其の時


(え)

トイレ付近から人影が見えた。

其の人影が入口にいる私の方に向かって歩いて来る。

(嘘…)

徐々に其の人影が誰か解る程近づいて来た。

「転校生…」

ランドセルを斜めに担いだ転校生が私の発した声に気が付き視線が合った。

「…」
「あ、あんた…今までずっとトイレにいたの?!」

信じられないといった顔をして叫んだ私に向かって転校生は酷く厭そうな顔をして口を開いた。

「…なんでおまえがそんな事知ってんだ」
「えっ…そ、其れは…」
「…失せろ」
「!」

転校生は其のまま私の横を素通りして行ってしまった。


(な、何よ…)

向けられた視線がとても冷たかった。

そして『失せろ』と云われた言葉がとても酷い言葉の様な気がして私の心は一瞬固まってしまったのだった。

ままごとマリッジ
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