あの日以来、私は何かと転校生を目で追うようになっていた。


(何なのよ、いっつもひとりでボーっと外を眺めていて)

私にとって放課後の転校生の謎がずっと心の中に引っかかっている。


(直接訊けたらいいんだろうけど…)

そういう気持ちにさせてくれない転校生の人を寄せ付けないオーラに怯んでしまっている私だった。



「紅実、どうしたの?」
「え」

机で頬杖頬杖ついている私の元に陽生ちゃんが来た。

「なんだか最近、よく考え事しているね」
「そ、そう?気のせいじゃない?」
「僕を誰だと思っているの」
「誰って…陽生ちゃんは陽生ちゃんでしょう?」
「そう。物心ついた時から紅実の傍で紅実を見て来た僕だよ」
「…」
「紅実の変化に気が付かない訳ないでしょう」
「…そっか」

其れはそうだなと思った。

私だって陽生ちゃんの事は他の誰よりも解っているつもりだ。

お互い隠し事なんてした事のない仲なのだ。


(…でも)


「紅実?」
「ううん…本当なんでもないよ?男の子の陽生ちゃんには云えない事」
「…え」

適当にそう云った言葉を受けて陽生ちゃんの顔は少し赤らんだ。

(あれ?なんで陽生ちゃん、顏…)

不思議に思っていると

「そ、そっか…うん、紅実だって女の子…だもんね。色々あるよね」
「?」
「えーっと…辛かったら保健室…行ってもいいんだからね」
「??」
「じゃあ──」
「???」

陽生ちゃんがそそくさと机から離れて行ってしまった。

其の不自然な行動に首を傾げて(どうしたんだろう)なんて考える。


(紅実だって女の子?辛かったら保健室?)


其のキーワードを繋ぎ合わせて行くと───


(…! も、もしかしてっ)

陽生ちゃんが恥ずかしい誤解をしている事に気が付いて私の方こそが動揺してしまう。

(違う!陽生ちゃんが想像している様な事じゃない~~っ!!)

そう心の中では叫ぶけれど、勿論口に出して弁解出来るはずもない。

(あ、陽生ちゃぁぁぁ~ん)

違うと解って欲しくて陽生ちゃんの方を見るけれど、何故か微妙に視線が合わない。

其の代わりに陽生ちゃんを見ると自然に目に入る隣の席の転校生。

(もぉぉぉ~あんたのせいで陽生ちゃんに要らない誤解させちゃったじゃないっ!)


多分、見当違いだろう怒りを心の中で転校生にぶつけた私はやっと転校生と直接対決する勇気が湧いたのだった。

ままごとマリッジ
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