あの日、転校生を下校時に見かけて以来何度か其の姿を見かける事があった。

其れは決まって陽生ちゃんと一緒に帰れない日に限っていた。

(時間…か)

陽生ちゃんと帰る時は大抵校庭で少しお喋りしたり遊んでから帰っていた。

たまにうさぎ小屋に寄っていたりもしたから直ぐに下校する事がなかった。

でも陽生ちゃんがいないとつまらないから私は其のまま真っ直ぐ帰っていた。

(直ぐに帰ると会っちゃうんだ)

何度目かで其れが解って少し厭だなと思った。


転校生が転校して来てからもう何日も過ぎたけれど、転校生はクラスに余り馴染んでいなかった。

最初こそ興味本位で転校生に群がっていた同級生も、素っ気なくされる事で徐々に距離を置く様になっていた。

唯一陽生ちゃんだけが未だに甲斐甲斐しく面倒を見ていて、転校生が孤立しない様に奮闘していた。

(もう!陽生ちゃんに迷惑かけてばっかりで…何考えているのよっ)

そんな気持ちから私は大して興味がなかった転校生に対してある悪い意味で興味を引かれていた。

(なんでそんな態度取ってるのよ)

まるで私たち──クラスや学校、この街、この国、この世界の全てに興味がない様な転校生の眼差しが気になって仕方がなかった。


(あ、また)

今日も真っ直ぐ家には帰らず、手前の角を曲がって行った。

(また公園に行くの?)

初めて見かけた時から転校生はずっと角を曲がっていた。

そんな奇行が私には不思議で謎で、いつもどうして?どうして?と疑問符が頭に浮かぶのだった。


(…よし、決めた!)

私は今日こそ其の謎を解いてやろうと意気込み、家まで走って帰った。


「ただいま!」

「おかえり、紅実」

お母さんの声がリビングから聞こえた。

私はランドセルを下ろし、リビングに向かって大きく声を掛けた。

「公園に行って来ます、直ぐ帰って来るから」

「え?ちょっと紅実──」

お母さんの言葉を最後まで聞かずに其のまま家を出た。

(早く行かないと…!)

そんな気持ちでいっぱいの私だった。

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