彼が子どもっぽいのは其の見た目と余所行きの性格の時だけだった。


「佐東さん、この書類に目を通してもらえますか」
「はい」

仕事中は専ら先輩社員で指導員の私と新入社員という立場の九重くん。

「あ、資料は僕が返却しておきます」
「お願いします」

折り目正しく先輩後輩としてのやり取りを繰り広げる私と九重くんを庶務課のみんなは少し残念そうに見ていた。

「なんだよ~あの飲み会で一気に仲が縮まると思ったんだけどなぁ」
「おれの気遣いを無駄にしやがって」
「九重くん、見かけ通り意気地なしなのかな」
「まぁ、一朝一夕で我らがアイドル佐東ちゃんをモノに出来る猛者ではない事だけは確かだぁね」

「…」

聞こえる様に陰口を叩く声に色々思う処はあるけれど、決して其れに乗ったりしない。

(みんないい人ではあるんだけれど…)

やり方とか見守り方がわざとらしくてちょっとだけ辟易した。


仕事場では今まで通りなんでもない平穏な日々を過ごしている一方で





「杏奈…っ」
「ふぁ…あ、あぁっ」

会社から一歩出れば私と九重くんは付き合い始めたばかりの彼氏彼女の関係になる。

「ほら、もっと体起こして」
「や…挿入ったままで…」
「大丈夫だから──んっ」
「っ!」

今までされた事のない色んな妙技を九重くんは私の体に刻み込んで行った。

(嘘、嘘、嘘ぉぉぉ~~!!)

九重くんとのセックスは今まで経験して来たものとは雲泥の差で、ただ寝転がって足を開いているだけでは済まない事ばかりだった。

「杏奈、中でイッた事ある?」
「な…ない、よ」
「だろうね、そんな感じする」
「だったら云わせないでよ」
「云わせたいんだよ、真っ赤になりながら答える杏奈の顔が見たいから」
「~~~っ」

(本当に参る!)

ふたりきりになると九重くんは偉そうになる。

偉そうといっても厭味のない偉さ。

偉そうなのに見た目の子どもっぽさが加わると途端に不思議な色を発する。

(九重くん…なんでそんなに色っぽいの?)

見た目で判断出来ないほどセックスが上手い。

其れに私の体を感じやすく優しく解して行く其のひとつひとつの仕草が堪らなく魅力的だった。

(私…こんなにセックス、好きだったっけ?)

相手を知るため、好きになるためのツールという気持ちでやって来たセックスが、今では相手をもっと感じたいからする行為に変わっていた。


(好き…好き)


セックスが


ううん


九重くんとする行為全てが



堪らなく好き───


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