高校生の時、男子たちの間で私がなんて呼ばれているのかを知った時、正直意味が解らなかった。

『見掛け倒しのまぐろ』

其のあだ名が女にとって不名誉な言葉だと知ったのは大学に入ってからだった。

面と向かって

『おまえ、セックスヘタクソだな』

『初っ端から誘って来るくせに全然気持ちよくねぇよ』

『出すだけ出してハイ終わりって、なんか虚しいんだけど』


好きだと云ってくれた相手でさえ、私とのセックスは気持ちよくない、気持ちがこもっていないと云われ、あっという間に私の元から去って行った。

話のタネに一度寝れば其れで充分な女。

其れだけの女。

見掛け倒しの女。

ずっとそんな風に云われて来ても、其れでも私は探し続けて来た。


きっとこんな私を


何処か欠けてしまっている私の全てを受け入れて愛してくれる王子様がいるんだってずっと探して来た───のに… 







「はぁ…最高…」
「───え」

突然始まった何処か幻の様な行為は九重くんのひと言で現実に引き戻された。

「~~俺、今、最高に幸せ~」
「…」
「あっ…ご、ごめんね、佐東さん」
「…」
「いきなりガッついてしまって…なんか俺、ほろ酔い顔した色っぽい佐東さん前にしたらもう我慢出来なくなってしまって…」
「…」
「其れに…俺の事、いつまで経っても子ども扱いして、ちっとも大人として見てくれないからなんか怒れちゃって…我慢の限界超えてこんな強硬手段取ってしまって…」
「…」
「……益々嫌いになった?俺の事」

(先刻から何を云っているの…?)

九重くんは私に跨って顔を赤らめたり薄っすら青くなったり忙しい表情を浮かべている。

「ここの──」

声を掛けようとした瞬間、ギュッと体を掻き抱かれた。

「ごめんなさい!でも、嫌いにならないで!」
「っ!」
「俺、本当に佐東さんの事が好きなんだ!顔も体も性格も…派手に見える外見から想像もつかない程優しい処とか気配りが出来る処とかしっかりしている処とか…もう…もう全部俺好みなんだ!」
「…」
「…無理矢理抱いてしまった事は謝るけど…だけど俺、佐東さんにどんなに嫌われても放れたくない」
「…」
「佐東さんを他の男なんかに取られたくない」
「…」
「だから…だからお願いします。俺と…俺の彼女になってください!」
「~~~っ」
「え…え、え、えっ…!な、泣いて…泣くほど俺の事嫌いなんですかっ」


目頭が熱くなったと思った次の瞬間、私の目からはボロボロと涙が溢れて来ていた。

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