「此処、お稲荷さんが祀られているんだ」

石敷きの道を少し歩くと、両端にちいさな白い狐の石像が置かれていた。

簡素な祠を護る様に佇む其の姿になんだかスッと心が洗われる様な気がして、私は思わず手を合わせてお参りした。

すると鞄の中の携帯からメールを受信した音が聞こえた。

私は慌てて携帯を取り出し確認する。

すると其処には先輩からのメールが届いていた。


【おまえ、大学落ちたって云っていただろう?!なんで突然来るんだよ!オレ嘘つき女とは付き合っていられないからな!】

「…」

其の文面から先輩が怒っている様子が容易に想像出来た。

どうやら先輩ときちんと話をする間もなく私はフラれてしまったようだ。

(…これって…自業自得ってやつかな)

そう自覚した途端、目頭がカァと熱くなった。


私は先輩を驚かせたくて半年前から嘘をついていた。

先輩と遠距離恋愛になってからメールのやり取りだけで交流を計って来た。

先輩の通う大学には合格圏内の判定を受けていたにも拘らず

【合格、微妙かも知れません】

【もしかしたらダメかも知れません】


なんて嘘をつき、先輩からは


【真優なら絶対大丈夫だ!】

【オレ、待っているんだからな、頑張れ!】


なんて励ましのメールをもらっていた。

そして一番最大の嘘は


【残念ながら不合格でした】

という言葉。

本当は合格していたのに嘘をついた。

其れは先輩を驚かせたくて、サプライズのつもりで半年がかりで画策して来た事だった。

そして私は全ての準備を整え、先輩の暮らす街、そしてアパートを訪ねた。

部屋の扉をノックして開けられた先輩を見て意気揚々と云った。

「先輩、本当は私、合格していたん───」

しかし言葉は最後まで発せられなかった。

だって出て来た先輩のあられもない姿に絶句してしまったから。

上半身裸で下着一枚姿。

そして部屋の奥から覗き込んでいた派手な女の人もまたあられもない姿だった。

其の状況はふたりがただのお友だち──という関係ではない事ぐらい私にだって解ってしまったのだった。

タタリ荘のモノノケ
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