「は?社会見学?」
「…そう。なんだかよく解らないんだけれど明日、城の外に行く事になったの」

道徳の時間を終え、私はイグナーツから云われた事を伝える為にフェルに逢っていた。

「そんなのバルダーニ王が赦さないだろう?今までそんな事一度もなかったんだし」
「其れが…イグナーツとフェル、そしてザシャル王子の3人が一緒なら行ってもいいってお赦しが出たの」
「は?3人で?」
「其れでお父様が、私の口からフェルとザシャル王子に社会見学の事を伝える様にと云われて」
「んで、おれに其れを云いに来たのか」
「…そう」
「はぁ~しっかしあの王子様は相変わらず無茶な事を云い出す人だよな」
「えぇ、昔から滅茶苦茶な人だったわ」


そう2年前も変わらず滅茶苦茶だった。

ヴォーリア国に滞在していた一ヶ月間、イグナーツは事ある毎に私に付きまとい、知りたくもない様な場所や娯楽を教えようとしていた。

だけど其の度にお付きの人に見つかり大目玉を喰らっていた。

(私は王になるために必要な知識や素養しか欲しくないのに…)

そんな私からしたら王子風情の欠片もないイグナーツの心証は甚だよくないものだった。

「そういう事ならおれは構わないぜ。お供してやんよ」
「ありがとう」
「んで、ザシャル王子は?王子もOKしているのか?」
「あ…其れはまだ。これから訊いて来る」
「ふーん…まぁ、頑張れよ」
「フェルもね──あ」

フェルが挙げた腕に傷があるのが目に入った。

「どうした?…あぁ、この傷?訓練の時の剣が掠ってさ」
「剣?」
「そ、まぁ模造剣なんだけどさ、其れでも深く入るとこうやって切り傷になるんだ」
「大丈夫?」
「平気平気、こんなん舐めときゃ治るんだって」

そう云いながらフェルは器用に傷を舐めていた。

(…切り傷は舐める)

そういうものなのかとひとつ知識を得た私だった。

Schwarz Mythos
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