三杉さんとの食事の約束を忘れていた私は、なんとか龍にご飯の支度を変わってもらえた事にホッとしていた。

(龍に悪い事しちゃったな…帰ったらもっとちゃんと謝ろう)

龍が裕翔くんや浬くんたちとユニットデビューを目指していないと知ってから、私は無意識に家事に関する事を龍にお願いしている処があった。

朝、時間がない時は洗い物を頼んだりする事を発端に、お風呂やトイレ掃除、喫茶店の帰りに買物などを頼む事もあった。

(なんだか急に下僕扱いしている様な気が…)

口では「其れは私の仕事だから手伝わなくていい」と云っておきながら、顎で使ってしまっている事実に少し頭が痛くなった。

「歌也ぁ、どうしたの?」
「あ…ううん、なんでもない」
「そう?あ、三杉ンいたぁー」
「…」

(涼花の『三杉ン』呼び、慣れないなぁ)

涼花は三杉さんの事を『三杉ン』と呼んでいた。

初めて聞いた時は驚いたけれど、三杉さんの方は慣れているみたいで『よかったら高科さんもそう呼んで』と云われた時は更に驚いた。

(いやいや、幾らなんでも年上の人に其れは失礼でしょう)

尤も私のそういった考え方も涼花にいわせれば『もう、カタいよ、歌也はぁ!』というのだけれど。

「やぁ、こんばんは。高科さん」
「…こんばんは」
 
待ち合わせのお店の前で三杉さんが待っていた。

「涼花さんも、こんばんは」
「こんばんは~ってか、なんかわたしは取って付けた様な挨拶だね」
「え、そんな事ないよ」
「ふぅん…まぁ、いいけどさぁ、先に来たなら中に入って待っていればいいのに」
「まぁ、そうなんだけど、同じ待つなら外の方がいいかなと」
「変なの。じゃあ入ろう~歌也ぁ」
「うん───あ」

涼花の言葉を受け、お店のドアの取っ手に手を掛けようとした瞬間、先に延びた三杉さんの手が取っ手を引いた。

「どうぞ」
「あ、ありがとうございます」

自然にレディーファーストをされてドキッとした。

其の後も事ある毎に三杉さんが大人な対応をするから、其の都度いちいち胸を高鳴らせている私がいたのだった。

王子様の作り方
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