日に日に龍の私に対しての接し方が露骨になって来るのをビシビシと感じる様になった。

「おぉ、龍は今日も歌也にベッタリだな」
「ほーんと、ちょっとは場所、弁えて欲しいよねぇ」
「まぁ…見ている分には微笑ましいけれど」

父も裕翔くんも浬くんも、私と龍の現状を解っている上で色々茶々を入れて来る事が多かった。 

(もう、みんな云いたい放題なんだから)

リビングでアイロンがけしている私の傍で龍は洗濯物を畳んでいた。

「…龍、手伝ってくれるのはありがたいけれど…私の仕事だから」
「ん?歌也ちゃんの仕事は俺の仕事でもあるよ」
「なんでそうなるのよ」
「共同作業ってやつ」
「…」

こんなやり取りはもう何度目かで云ってもきかない事は承知していた。

「しかし龍、すっかり地が出ているな」

父が遠巻きに声を掛ける。

「そうですね…もう偽りの王子様やっても歌也ちゃんがなびかないって解ったんで」
「そうか──ははっ、本当おまえたちってままごとの延長線を続けているって感じだな」
「ままごと…ですか」
「昔一度逢った時もおまえたちままごとしていたからな」
「…あぁ、そうですね。歌也ちゃんが旦那さんで俺が奥さん」
「は?!何其れ」

父と龍の会話に思わず割って入ってしまった。

「あれ、歌也ちゃん覚えていない?ままごとで俺の旦那さんやっていたの」
「お、覚えて…っていうか、なんで私が旦那さんなのよ、逆でしょう?!」
「ううん、歌也ちゃん、俺が余りにも可愛いかったから奥さんにして可愛がりたいって勝手に配役変えていたんだよ」
「な…なっ」

確かに可愛かっただろう。

小さい時の龍は。

あれから母に小さい時に撮った私たちの写真を見せられたりして、改めて龍の正真正銘の美形振りにギャフンと唸ってしまったのだから。

「歌也ちゃんはさ、お姫様になりたいって気持ちをあの時から押し殺していて、俺…そんな歌也ちゃんを反対に目一杯可愛がってあげたいと思ったんだよね」
「~~~」
「だからそういう事をしても歌也ちゃんが厭がらない様な王子様になろうと必死だったんだ」
「…龍」

呟いた名前がちいさく空気に溶けて行った。

(たった一度、数時間遊んだだけでそんな気持ちになっただなんて)

龍の私に対する気持ちを知れば知る程に訳の解らない焦燥感に駆られるのだった。

王子様の作り方
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