「わぁぁー歌也ちゃん、おかえりぃー!」
「裕翔くん、おかえりは私の台詞でしょう」
「何云ってんの、心配したんだからねーいきなりいなくなっちゃうからさー」
「…ごめんね」
「歌也さん…」
「浬くんも、心配かけてごめんね」
「いえ…おれは…其の…」
「もう大丈夫だから」
「…はい」

其の日の夕方、学校から帰って来た裕翔くんと浬くんを玄関で出迎えた。

私の勝手な振る舞いでふたりに要らぬ心配をかけてしまった事を申し訳なく思った。

「ねぇねぇ、其れで?」
「何?」

リビングに向かいながら裕翔くんが私を小突いた。

「龍ちゃんと上手くいったの?」
「こら、裕翔!いきなりそんな不躾な事を訊くな」
「えぇーだって浬だって気にしていたじゃん」
「そ、其れは…」

「…」

高校生らしい心配に思わず口の端を上げてしまった。

「あ、歌也ちゃん笑った!其れって上手くいったって事だよね」
「え、そうなんですか?!」

目敏く私の笑みを見た裕翔くんが目をキラキラさせながら私に詰め寄った。

其の裕翔くんの後ろでこれまた何かを期待している眼差しで浬くんが寄り添った。

「えーっと…其れは」

「いっていないよ」

「!」

急にリビングのドアが開き、中から龍が姿を現した。

「あ、龍ちゃん!──って…あれ?いっていないって…」

裕翔くんが私と龍の顔を交互に見ている隙に、私の体がグッと龍の方に寄せられた。

「なっ!」
「だけど歌也ちゃんは俺のものだから」

「「えっ」」

龍のとんでもない発言に裕翔くんと浬くんは素っ頓狂な声を上げた。

「ちょ…違うでしょう!なっていない、なっていないよ、まだ」
「まだ?まだ、なっていないの?」
「あのねぇ、まだあれから二時間くらいしか経っていないでしょうが、そんなに早くないから」
「…ちぇ」

軽く舌打ちをした龍は名残惜しそうに私の体から手を引いた。

「え…あの、どういう事ですか?」

浬くんがおずおずと私に尋ねた。

「あー…えっと…其の」

なんて説明すればいいのか口籠っていると

「歌也ちゃんが俺の事、本当に好きになるまでお姫様にはなってくれないんだって」
「!」

私の代わりに龍が横から口を挟んだ。

王子様の作り方
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