(何が悲しかったって)


みんなが私を騙していたから…


(…って、なんで私、騙されていたの?)


騙されていたから悲しかった?


(ううん…違う)


「…私だけが…龍ノ介くんの本当を知らなかった…のが、なんだか…悲しかった」
「…そっか。じゃあ今は?」
「え」
「今は、悲しい?」
「…」

涼花に話を訊いてもらって、散々喚いて吐露した今、何故か気持ちはいつもと変わりなく在った。

(あれ…なんで私…あんなに怒っていたんだっけ?)


「おっと、そろそろ時間切れ。歌也、大学行こぉ」
「あっ…う、うん」

何かがストンと心の中に落ちたような気持ちは、涼花に急かされる事で其の時は淡く消えてしまったのだった。








「ねぇ…歌也ちゃんが出て行ったのって僕たちのせい…なのかな」
「は?」

歌也ちゃんのいない食卓で武也さんが作った食事を男四人が言葉少なに摂っている。

「だって僕たち…龍ちゃんがノンケで歌也ちゃんの事が好きだって知っていたじゃん」
「…知っていたけど…おれたちが其れを歌也さんに云う訳にはいかないだろう」
「でも…でも結果として歌也ちゃんをみんなで騙していたって事だよね」
「…」

裕翔が今にも泣き出しそうな声で喋っているのを冷静に受け止めようとしている浬。

ふたりの会話を訊きながら沸々と申し訳なさが込み上げて来た。

「ふたり共…ごめん」
「龍ちゃん?」
「…龍ノ介さん」
「俺が頼んだ事でふたりに厭な気持ちにさせて」
「そんな…僕も訊いた時『面白そう』なんて悪乗りしちゃったし」
「…おれもそうです。結果として歌也さんの気持ちを考えられなかった」

「…」

全ては俺が悪かった。

歌也ちゃんもあの約束を覚えているのだと思い込んでの作戦だった。

高校を卒業して、歌也ちゃんの元に行く事をサプライスにしたかった。

俺と歌也ちゃんの約束の事を知っていた武也さんに頼んで、ユニットの一員として居候するという演出で歌也ちゃんと再会した。

予想では其処で歌也ちゃんが俺の事を思い出してくれて感動の再会となる──はずだった。

だけど現実は違ったのだ。

王子様の作り方
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