「ねぇ…どういう事?」
「んー?」
「私の王子様って…涼花、何か知っているの?」
「知っているも何も、歌也、わたしと出会った時、ずっと云っていたよ?『かやはおひめさまになるの。いつかおうじさまがやくそくをはたしにむかえにくるの』って」
「?! な、何其れっ」

(私、そんな事を云っていたの?!)

というか

「涼花も龍ノ介くんも記憶力良過ぎじゃない?!」
「いや、普通覚えているでしょう。小1の時だよ?」
「……私…忘れていた…」
「…まぁ、歌也の場合は其の約束以上に強烈なあれこれがあったから記憶が埋れちゃったのかも知れないねぇ」
「…」
「わたしは強烈に覚えていたからね。『何この子?夢見る夢子ちゃんなの?』ってある種インパクトのある子だったから」
「~~其れって私の事馬鹿にしていたって事?!」
「まぁ、否定しないけどぉ」
「涼花!」
「でもね、可愛かったんだよねぇ~其の頃から歌也ってば」
「~~~」
「…わたしにはないものをいっぱい持っている子なんだなって思ってね」
「…涼花?」

一瞬涼花の表情が陰った。

でも其れはほんの一瞬の事で、あれは見間違えだったのかなと思い直してしまうのだった。

涼花の記憶と照らし合わせると、やっぱり龍ノ介くんが私に云った【約束】という件は嘘ではないのだと確信出来た。 

「で?歌也は何がそんなに悲しかったの?」
「え」

簡単な朝食を終え、食後に淹れたコーヒーを飲みながら涼花が訪ねた。

「確かに武也さんやボーイズ達が龍ノ介くんの本当の事を黙っていて、結果的に歌也を騙していた事にはなったけどさぁ」
「…」
「始まりは単純に龍ノ介くんが歌也を迎えに来たって事なんでしょう?」
「…そ、そう…みたい…だけど」
「歌也だって龍ノ介くんの事、いいなって思ったんでしょう?初めて──じゃないか、再会して」
「…其れは…」
「で、自分勝手に状況だけで龍ノ介くんの事をゲイだと決めつけて勝手に失恋した気になっていた」
「! だってそうだと思うよ、あの状況では。お父さんだってユニットのひとりだって紹介の仕方して…」
「まぁ、武也さんや龍ノ介くんの誤算は、歌也が驚くほど記憶力がなかったって事なんだよねぇ」
「!」
「本当ならそう云って現れた彼が実は約束の彼で、ドーン!と感動の再会になる処だったのにって」
「……」
「龍ノ介くんにしたって、彼の中では強烈な約束だった訳だから絶対的自信があったんだと思うよぉ?まさか歌也が約束どころか自分を忘れているだなんて其れこそ計算外だったんじゃないのぉ」
「~~~っ」
「そういう小さな幾つものズレが結果的に歌也を騙したって風になっただけ」
「…なんか…私が悪いみたいじゃん」
「え」
「覚えていなかった私が悪いみたいじゃない」
「まぁ、龍ノ介くんにしてみればそういう事かも知れないねぇ」
「~~~なんか…納得いかない~~」

(其れじゃあまるで、私が原因でみんなに嘘をつかせる事になったみたいじゃない!)

「そうだね、納得いかないねぇ。でも其れはお互い様なんじゃないの?」
「…」
「で、もう一度訊くけど、歌也は何がそんなに悲しかったの?」
「…」

先刻涼花に訊かれた事をもう一度問われた。

王子様の作り方
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