「ありゃりゃ~其の展開は予想外だなぁ」
「裕翔、真面目にしろ」
「真面目にって…正直僕にはなんの関係もない話で」
「関係はあるだろう、結果として歌也さんをみんなで騙していた訳なのだから」
「あぁ~はいはい、ごめんね、龍ちゃん」

「…」

少しずつ気持ちが落ち着いて来た俺はポツリポツリと状況の説明をしていた。

「でも…なんかさ、龍ちゃんが強気で押したら歌也ちゃん、案外コロッと受け入れそうな気がしたんだけどな」
「…」
「だって歌也ちゃん、ずっと王子様みたいな彼氏が出来るの夢見ていたんだし」
「…」
「龍ちゃんみたいな色男に迫られたら感激してすぐにでもハッピーエンドになるって思ったのになぁ」
「裕翔、少しは黙れ」
「う゛うぅ~だってこのどんよりとした雰囲気、僕、好きじゃないんだもん」

俺の話を訊きながら裕翔が語る意見は、正直俺が思っていた予想と似通っていた。

(俺も…思っていた)

歌也ちゃんに約束の事を持ち出して、思い出してくれたらハッピーエンドになれるのだと。

そんな甘い考えしか俺の中にはなかった。


「まぁ…歌也は今までに色んな思いをして来たからなぁ…」
「…え」

ボソッと口を開いた武也さんの言葉に意識が引っ張られた。

「歌也はオレのせいで色々目には見えない苦労をして来たんだと思う。特に恋愛面に関しては」
「…」
「思春期に入る前はよく話してくれたんだがな」
「…何を」
「王子様みたいな彼氏が欲しい、だけど私の周りにいる理想の王子様はみんなお姫様を必要としていないんだって」
「…」
「まぁ、歌也の置かれている環境で出逢う男は大抵ゲイだったからな。いいなと思って恋をしても所詮叶わない恋だと諦め続けて来た」
「…」
「其れに──これは歌也には内緒で友だちの涼花ちゃんが教えてくれたんだが…歌也は高3の時に初めて出来た彼氏に…オレの事で手酷くフラれた事があったらしい」
「!」

其れを訊いた瞬間、今まで希薄だった意識が一気に浮上した。

(彼氏?!歌也ちゃんに)

しかも武也さんの事でフラれただなんて───


『…騙されていたの』

『…私、みんなに騙されていたって事?』

『私だけが何も知らなくて…ただ純粋に裕翔くんと浬くんと…龍ノ介、くんの三人がアイドルユニットとしてデビューして…お父さんの夢を叶えるんだって信じていて…』

『~~~っ、馬鹿にしないでよ!』


歌也ちゃんの言葉が今更のように深く心に突き刺さる。

歌也ちゃんに今までどんな事があって、どんな気持ちで過ごして来て、其の中で幾つ信じたいという気持ちが裏切られて来たのだろうと──

そして今の俺自身も結果として歌也ちゃんに嘘をつき、騙して、そして真実を述べる事により裏切った形になった。

(俺はなんて事を…!)

歌也ちゃんが俺に投げ掛けた怒号がより一層心に深く突き刺さり、そして大きく抉れ血が流れ出た様な気がした。

王子様の作り方
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