「ごめんね、思ったよりトイレ込んでいて──あ、お友だち来ていたんだ」

私の隣にごく自然に座った彼を見た芳香は固まっていた。

「あ、あのね、芳香。此方…昨日からお付き合いしている泉澤悠真さん」
「初めまして、泉澤です」

「…」

「…おーい、芳香?」

未だに固まっている芳香を心配して少し揺さぶってみた。

「! 嘘っ、なんで連れて来てるの?!」
「っ」

ようやく融解して発した言葉が其れだった。

「もう、なんで…なんでいきなり…っていうか、本当にイケメン!どうしよう、化粧…落ちてない?!」
「ちょっと落ち着いて、芳香」
「これが落ち着いていられる?!イケメンが目の前に…っていうか、美兎からわたしに彼氏を紹介してくれるなんて初めてじゃないっ」
「…そう…だっけ」

芳香との約束を取るか、彼との誘いに乗るか悩んだ私は、其のどちらも得ようと思った。

だから彼を連れて芳香との待ち合わせの店に来たという訳だった。

「はぁ…そうなの。まぁ、美兎らしい欲張りな回答だね」
「欲張りって」
「俺は嬉しいですよ。美兎ちゃんの友だちに紹介してもらえるなんて」
「っ、美兎…ちゃん?!」

「~~~」

(もう芳香が何を云いたいのか解り過ぎている)

そっと芳香を窺うと、ニヤッという吹き出しがつきそうな含み笑いをしていた。

(あぁ…絶対後でからかわれる)

そう心の中でそっと覚悟した。


其れからの私たちは意外と和やかに話が弾んだ時を過ごした。

お酒に強くないという彼は始終ノンアルコールを飲んでいて、私と芳香はいつも通りのペースでグラスを空けていった。

「ほーんともう、いい加減幸せにしてやってくださいよぅ~」
「ちょっと、芳香」
「なによーこういう事はね、初めにちゃーんと云っておかないといけないんです!」
「飲み過ぎだよ、芳香」
「いいよ、美兎ちゃん」
「…でも」

酒豪の癖に酔うと愚痴っぽくなる芳香が彼を相手に色々云っていた。

「本っ当にいい子なの~ただ男の事に関しては幸が薄くてぇ~全っ然幸せな恋愛して来ていないんれすよぉ」
「芳香ぁ…」

(これ以上恥ずかしい事を云われる前にこの場は解散した方がいいかも)

そう思った私はこっそり携帯を取り出したのだった。

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