──好きになった人は私と同じ境遇の人でした──


(去る者は追わず来る者は拒まず体質!)

自分と似通った恋愛観の持ち主だろう人を好きになってしまった。

これが意味するものは何だろうと思った。


「あの…」
「まぁ…いいか」
「え」
「君、可愛いしね」
「!」

そう云うと店長は私の元まで来てそっと手を取った。

「じゃあ付き合おうか」
「は…はいっ!」
「でも俺と付き合うっていうのはただ清いだけの付き合いじゃないって事、覚悟している?」
「? はい、付き合うってそういう事ですよね」
「んーやけに物分かりがいいのもちょっと困りものだけど」
「…」

付き合ってくれるという言葉を訊いて嬉しいはずなのに、なんだか少し彼の言葉の端々に違和感を感じた。

「なるべく年相応な交際を心掛けるけどね。でも此処で働くとかは駄目だよ」
「どうして」
「どうしてって、やっぱり高校生は学業優先でしょう。俺、そういう事には厳しいよ」
「…へ」
「ちゃんと勉強と恋愛を両立して──」
「あの!」
「ん、何」

(もしかして…もしかして…)

先刻から感じていた違和感の正体がまさか──と頭を過った。

「私、高校生じゃないです」
「え、高校行っていないの?」
「行っていません。12年前に卒業しました」
「───え」

(あぁ、この顔、やっぱり…)

「もしかして…私が高校生に見えましたか?」
「え…だって君、うさぎ年生まれでしょう?」
「はい」
「だから今年17か18…」
「…もう一回りしています」
「…」
「1987年生まれの…うさぎ年です」
「え………え、えぇぇぇぇぇっ?!」


そう。


私は昭和62年生まれのもうじき30になるアラサー。

見た目が幼いからよく実年齢よりもうんと年下に見られるけれど

(高校生に見えるのってなんだか複雑)

私の童顔で寄って来た男は大抵実年齢を知って驚いた。

そして見た目と中身のギャップに騙されたといって去って行くのだ。


「あの、驚き過ぎです」

先刻からあり得ないという表情をしっ放しの店長にボソッと呟いた。

「だって…君、其れ犯罪級の童顔だよ?てっきり未成年だと思ったから俺」
「…」

(ひょっとして高校生だと思ったから諭す様なあれこれを云ったのかな)

今までのやり取りを反芻して其れに気が付いた。

そしてそう思ったら何故か彼に対しての好感度が少しアップした。

(モテるけれど一応見境無しって訳じゃないんだ)

常識がある人なんだと思ったらまた胸がトクンと高鳴った。

SOULAGER
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