望んでいないイメージに怒るお客をスマートにかわす店長に胸がドキドキして仕方がなかった。

其れまでの流れから私はもう一度手元にあるカップを眺めた。

(ピーターラビット…うさぎ)

あの人は私をうさぎだとイメージした。

(す…凄い!)

其れはある意味彼に恋するきっかけとしては充分過ぎる理由だった。





陽が暮れかかった19時。

カフェにclosedの看板が掲げられた。

「あの!」
「え」

看板を掛けに外に出て来た店長に声を掛けた。

(我ながら恥ずかしい行動だけれど)

でも居ても立っても居られなかった。

「あの…バイト、募集していませんか?」
「バイト?」
「はい。今日…半日お店にいましたけど、店長さんひとりしかいないみたいで」
「半日…お店にいたんですか?」
「あ」

其の言葉に少しがっかりした。

この人に特別な気持ちを抱いてからなんとか近づきたいと思った。

ミルクティーを4杯お替わりして、特に何をする訳でもなくただ其処に居続けた。

(こんな女がいたら気にしてくれると思ったのに)

色んなあざとい考えで閉店時間30分前に店を出て営業が終わるのを待っていた。

(いやいや!私の存在は仕事に熱中するあまり気が付かなかったという事で)

何とか自分自身に都合のいい云い訳を訊かせて勇気を奮い起こした。

「私、どうしても此処で働きたいんです!だから──」
「どうして?」
「え」
「どうしてうちなんかで働きたいと思ったんですか」
「あ…あの、其れは…」

彼の質問は至極当然のものだと思われる。

特に求人をしている訳でもない。

今日、店に来た女がいきなり働かせてくれと云った処ですんなり了解する方がおかしいだろう。

でも


其れでも私は──


 「店長さんを好きになったからです!」

嘘をついても仕方がない。

此処は正攻法で行こうと思ったのだった。

SOULAGER
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