──私は今までに恋愛というものを真剣にしてこなかったのかも知れない


「別れて欲しい」
「…」
「おまえってオレの事、本気で好きじゃないよな」
「…」
「そういうの、解るんだよ。付き合っていると」
「…」
「オレの方から付き合ってくれって云った手前…悪いとは思うけど」
「…」
「オレの事、好きだって云ってくれる子から告られてて…其れ、受けようと思う」
「…」
「だからおまえの事ちゃんとしたくて」
「…」
「…なぁ、オレの話、訊いてんの?」
「解った」
「え」
「今までありがとう、バイバイ」



もうこんな事は慣れっこだった。

『好きだ、付き合ってくれ』と云われたから付き合う。

でもごく短い期間で『別れて欲しい』と云われる。

ずっとずっとこんな感じでただ付き合った男の数だけ増えて行った。


(だからこんなの…もう慣れっこなの)


「ご注文はお決まりですか?」
「…え」

ふと気が付くと目の前にいた筈の彼の姿はなかった。

突然カフェに呼び出されて、来た途端にいきなり始まった別れ話。

云いたい事だけを云って、私が呆けている隙に彼はサッサとお店を出て行ったらしい。

多分、時間にして4~5分の事だろう。


「ご注文、お決まりですか?」
「…」

私に向かって二度そう云ったカフェの店員らしき男性はにこやかに立っていた。

(この人…状況解っていないな)

今フラれたばかりの私に笑顔を向ける其の神経に一瞬イラッとした。

だけど

(…ううん、解っているのかも…知れない)

だって彼の話が始まってから店員が注文を取りに来る事はなかった。

普通ならお店に入ったら直ぐにでも注文を訊きに来るはずなのに。

(気を…使ってもらったのかな)

にこやかな笑顔も接客業なら当たり前の事だと冷静になって考えられたら苛立ちは無くなった。

「ミルクティーを…ください」
「かしこまりました」

本当なら直ぐにでも店を出ようと思っていた。

だけど何故か今は温かいミルクティーが飲みたいと思ってしまったのだった。

SOULAGER
★ランキングサイトに参加しています。
其々1ポチずついただけると執筆の糧になります。

恋愛ランキング
にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村