玄関を過ぎ、通された居間には大きな丸い卓袱台が置かれていた。

(おぉ、実家の雰囲気に似ている)

和室の雰囲気といい、間取りといい、実家と遜色ない内装が何故かホッとした気持ちにさせた。

「其処、座って」
「あ、はい」

座布団が置かれた場所に座ると、大家さんがお茶を淹れてくれた。

「ほい」
「ありがとうございます」

お茶を受け取って少しずつ口に含んだ。

「で、此処に住むにあたってあんたには幾つかあるルールに従ってもらう」
「ルール?」

いきなり切り出された其の言葉に思わず身構えた。

 「あぁ。まず、あんたには毎日夕食を作ってもらう」
「は?」
「この家には俺ともうひとり住んでいる。あんたを入れて三人分だ」
「三人分の夕食を?私が作る?」
「夜だけだ。其の代わり夕食にかかる食材費は此方が持つ」
「!」

(其れって…夕食費は実質ゼロ円、という事?!)

支度をするという労働だけで食費がかからないというのはありがたい話だった。

「どうだ」
「はい、是非作らせてください!」
「よし。其れからトイレと風呂の掃除は交代制。玄関脇の伝言板に表を貼っておくから其れに沿って従事する事」

(そうか、お風呂もトイレも共同だもんね)

「解りました」

大家さんに云われたタタラ荘のルールというのを幾つか訊いたけれど、其のどれもが差し障りのない、というかかえって私にはお得なものばかりだったのに安堵していた。

しかし

「そしてこれが最後のルールだ」
「はい」
「毎週日曜日はこの家で過ごす事」
「……は?」
「余程の用事がない限り、毎週日曜日はこの家で過ごす事。以上!」
「…」

最後のルールというのがおかしなものだった。

(という事は…毎週日曜日は)

「外出禁止、という事ですか?」
「禁止って訳じゃない。買物や遊びに行くのだって自由だ」
「? えっと…其れだと大家さんが云ったこの家で過ごす事にはならないんじゃ」
「この家の住人の誰かが買い物に行きたいと云ったらみんなで行くし、遊びに行きたいと云ったらみんなで行く──そういう事だ」
「…」

(其れってつまり…)

この家で過ごす──というよりは、タタラ荘の住人みんなが一緒になって行動するって事?

(住人といっても私を入れて三人しかいなんいんだけど)

其の最後のルールだけが何故かよく解らないなと首を傾げた私だった。

タタリ荘のモノノケ
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