携帯で時間を確認すると21時を少し過ぎた頃だった。 

(思ったより早く終わったな)

行く前は憂鬱で仕方がなかった合コン(もう云いきろう)も過ぎてしまえばあっという間の事だった。

涼花は大鳥さんと二次会だーと息巻いてふたりで夜の繁華街に消えた。

普通なら妖しい想像をしてしまう処だけれど、涼花に限ってはそういう事のない、純粋に飲みに行くという事でしかないと解り過ぎるくらいに解っていた。


「…」

私は掌にある携帯を見つめた。

『よかったら連絡ください』

そんな三杉さんの言葉でお互いの連絡先を交換した。

合コンにはお決まりの行動なのだと涼花にニヤけられたけれど…

(連絡って…一体何を連絡すれば)

三杉さんとは最後まで愉しくお喋りをして、とても有意義な時間を過ごせたと思う。

でもだからといって直ぐに恋愛に結び付く相手とも思えず、ちょっともどかしい気持ちになっていた。

(とりあえずいい人だって事は解った)

きっと三杉さんみたいな人と付き合えば幸せになれるのかも知れない──なんて事をぼんやりと考えているといつのまにか自宅に着いていた。



「ただいま」

真っ暗な玄関で明かりを点けながらいつもの様に云う。

「あ…そうか、誰もいないんだっけ」

今日は父を始め、裕翔くんも浬くんも、そして

(龍ノ介くんもいないんだっけ)

仕事である会食で留守にしている四人のいない、静かなリビングのソファにドサッと腰掛けた。

「はぁ…疲れた」

ほんのり酔いの残っている頭がフワフワしていた。

いつもはみんながいて、其れなりに騒がしい家が静寂に包まれているのが不思議だなと思った。

(なんか…寂しいな)

昼間、家に誰もいない事はあった。

仕事や学校で留守にしていて、大抵私が一番に家に帰って来る時なんかはひとりきりだ。

でも昼間ひとりの時と、夜のひとりの時は随分受ける印象が違って見えた。

(暗い処にひとりでいるのって…寂しい)

夜は常に誰かしらいたからこんな風に寂しいと思った事がなかった。

其の気持ちはまるでこの世からみんな消えてしまって、私だけが存在している空虚な中を彷徨っている様に感じられる。

(やだな…なんか…泣きたくなって来た)

今の私にはすがれる唯一無二の存在がいない。

私の事を守って、愛してくれる王子様がいない。

(王子様…王子様…)

何故か昔から其のキーワードが頭の片隅にあった。

王子様みたいな人は私の周りに沢山いたけれど、其の誰もが私を必要とはしてくれなかった。

私の周りにいた王子様はお姫様を求めていなかったから。

(誰か私を…私をお姫様にして…!)

「…ぁ」

何故か其の想いが強く頭に浮かんた時、何かを思い出しそうになった。

「──酔っ払い」
「!」

必死に思い浮かんだ事を思い出そうとしていた私の耳元にあの低く掠れた声が響いた。

王子様の作り方
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