第一印象はあまり覚えていなかった。 

容姿の事を云えば大鳥さんの派手ないでたちが目を惹き過ぎて、彼の地味──というかシンプルな其れは印象に残りにくかった。

でも

「多分、名前忘れているよね。改めまして、三杉 晋太郎(ミスギ シンタロウ)です」
「あ、三杉さん…でしたね」
「はは、やっぱり印象薄いんだな、僕って」
「すみません、あの…大鳥さんのインパクトが強過ぎて…」

小声でそう答えると三杉さんはニッコリと笑って

「確かに、彼はとても華やかだよね」
「…」

銀ブチ眼鏡の奥で細められた目を中心に、其の笑顔は質素ながらとても穏やかで清々しいものだった。

(この人…よく見ればとても整った顔立ちしている)

ひとつひとつのパーツの形がとてもいいなと思った。

でもどうしてこんなにシンプルな印象しか残さないのだろうと不思議にも思った。

「あの…三杉さんは涼花とはどういった関係なんですか」

涼花からは主に大鳥さんに関する事ばかりを訊かされ、この三杉さんに関しては『出版社に勤めている大人の男性だよ』という情報しかなかった。

「涼花さんとの関係──というか、僕は高科さんのお母さんとの関係の方が深いかな」
「え、お母さん?!」

思いもしなかっった名前の登場に酔い気味だった頭がハッキリした。

「僕は高科さんのお母さんが勤めている出版社に勤務しているんです。入社一年目で、高科さんは直属の上司という関係です」
「あぁ、そうなんですね──ん?じゃあもしかして」

(お母さんが直属の上司って事は)

「はい、BL雑誌、作っています」
「! そ、そう、ですよねぇ」

少し頬を赤らめて呟く様に云った三杉さんがなんだか可愛いなと思ってしまった。

「僕自身、そういう世界はあまり詳しくないんだけど…折角配属された部署なので…頑張っています」
「そう、ですか…」

きっと普通に雑誌の編集者になりたくて入った出版社だったのだろう。

でも希望していたジャンルの配属ではなくていきなりディープな世界に放り込まれただろう三杉さんの其の時の心情を思うと気の毒になった。

「でも知らない世界を知る事は愉しい事でもあるよ。日々、新しい発見をしているのだと思うとこの仕事もやりがいを感じるしね」
「…」

整った顔立ち、柔らかな物腰、そして前向きな姿勢。

三杉さんという人は知れば知る程いい人なのだと知れるのだった。

「涼花さんとは高科さんに会いに涼花さんが編集部に出入りする内に親しくなって、今回のこの会に呼ばれたんです」
「あぁ、そういう流れでなんですね」

(そういう事、先に教えておいてよね涼花)

私的には大鳥さん情報よりこの三杉さん情報を率先して教えてもらいたかったと心の中で毒づいてしまった。

「涼花さんを通じて色々高科さんの事を訊いていて、初めて逢ったにも拘らずなんだか初めてじゃない気がしてしまって…」
「やだなぁ…涼花、酷い事云っていませんか?」
「いや、其のような事は何も。ただ高科さんが小さい時から真面目で頑張り屋だったという事を──」

其れから私と三杉さんは色んな話をした。

最初から私の家庭環境を知っていて、涼花を通じて話されていた私のどうでもいい事を中心に、其れは其れは話が盛り上がったのだった。




「そろそろお開きにしようかぁ」

そんな涼花の言葉で約三時間の合コン(?)は終わりを迎えたのだった。

王子様の作り方
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