少し前から気になっていたの。 


高3になってから初めて同じクラスになって、ひと言ふた言話すようになって、彼の夢を知った時、私なんかでも何か役に立つ事があるかも知れないと、私の家庭環境を話すようになった。

勿論父がお姫様願望のあるゲイだとかそういった深い部分は隠して。


其れがきっかけだった。

彼から告白されて付き合い始めたのは。


王子様の様にカッコいい人に愛されたいとずっと願って来た。

お姫様願望の強かった父の前では決して見せられなかった女の子らしい部分を全て曝け出して、ありのままの私を愛してくれる王子様みたいな人に攫われたいとずっと思っていた。

そんな私の願いを叶えてくれるかも知れない彼が貴志山くんだった。


彼は芸能人になるのが夢だと云った。

其の夢を叶えるために努力をしているとも。

だけど見た目がカッコいいだけで簡単に叶えられる夢ではないと云った。

だから私は彼の力になりたいと思った。

私の父が元アイドルで、今は芸能事務所を始めている事を話した。

其れを彼は利用しようとしてくれた。

勿論、私自身がそう望んだ事だった。

私の事を利用して芸能人になってくれたらいいと、私自身が望んだのだ。

そして私と彼は彼氏彼女の仲になった。

初め彼が私に対して抱いていた気持ちは不確かなものだったかも知れない。

でも彼は云ってくれた。


『例え歌也が元芸能人の娘じゃなくても好きになっていた』

『もし芸能人になっても僕の恋人は歌也だけだから』


其の時は其の言葉が全てだった。

だから私は彼に全てを委ねられたのだ。

初めて私を女の子らしく扱ってくれた彼だったから、私は彼の事がどうしようにもなく好きになってしまっていた。


──だけど


『ゲイだのホモだの、そんな気持ち悪い男の娘となんか付き合えるか!』


貴志山くんが私の父のアイドル時代の事を調べ、何故若くして引退したのか、其の真実を知った瞬間、私に投げ掛けた言葉が其れだった。

正直其の時の事はよく覚えていない。

ただ貴志山くんの罵声を訊いた瞬間からの、其の次の記憶は涼花の腕の中で泣き喚いている私だったという事。

涼花にフラれた理由を話した記憶はないけれど、涼花は確かに訊いたと云った。

そして貴志山くんを殴りに行くと云った涼花を必死になって止めている私という記憶が一番色濃く残っていたのだった。


──其れっきり


私と貴志山くんの間にはただのクラスメイトとしての肩書きしかなくなっていて、高校卒業後、風の便りで貴志山くんは何処かの芸能事務所に入ったとか何とか聞いただけで終わったのだった。

王子様の作り方
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