講義終了を報せるチャイムを聴きながら私はホッと息を吐いた。 

慌てて家を出て何とか講義開始時間に間に合う事が出来た。

将来に関して特にやりたい仕事や夢などがなかった私は、少しだけ興味があった心理学を学ぼうと思い文化部心理・社会学科という処に籍を置いていた。

社会調査技術やメディア活用方法やカウンセリング能力の向上など、父の生業に少しでも役に立つかも知れない学問を選んで学んでいる。


「歌也、ご飯食べにいこ~」
「涼花、今日は来ていたんだ」

私に声を掛けて来たのは田仲 涼花(タナカ リョウカ)だ。

小学校の時からの友人で、中学高校、大学まで一緒に通っているいわゆる腐れ縁で繋がれている。

「来てたんだって酷いねぇ。時間がある時は来ていますよ」
「ちゃんと単位計算している?あんまり休むと留年するよ」
「大丈夫!其処ら辺は抜かりないので」

ビシッと敬礼する其の仕草に相変わらずだなと苦笑いした。

涼花はとある趣味に没頭する余り、其れ関係の行事やイベントに参加するための資金を幾つか掛け持ちしているバイトで賄っていた。

其のために大学も休みがちになっていたのだ。

「其れより!どーおー?最近の新人くんはぁ」
「えー別に何も変わりないよ」
「変わりなくても訊きたい訊きたい!ねぇ、裕翔くんと浬くん、どっちかと急接近的な行動、あったりしない~?」
「…」

見た目は悪くない。

いや、どちらかというといい方。

乳もデカくてボッキュンボンのメリハリボディーは目を惹く。

社交的で性格も…まぁ、其れなりにいいだろう涼花はモテる。

ただ…

「あぁ~ん、信じられない!未だに其の片鱗を窺わせないなんて!歌也、ちゃんと監視しているぅ?」
「していないから、監視なんて」
「きっと歌也の目を盗んであーんな事やこーんな事に耽っているに違いないわ!」
「ちょ…声、大きいから」

もうお解りかも知れないが、この友人も私の母同様、男性同士のカップリングが大好物だという腐女子属性だ。

先に語った彼女の没頭する趣味というのもBLに関する事であり、其れ等に関係する即売会やイベントに参加するためにえらくお金がかかるためにバイトしまくっているのだった。

(なんで私の周りってこう極端なのかしら)

ただ涼花の場合、こうなってしまった原因の一端は私の母が担っているのかも知れない。

小学生の頃、私は涼花を連れてよく母の家で遊んでいた。

父と住んでいた家には男の人が多く出入りしていたから其れを考慮しての事だったのだけれど、其処で涼花は母の愛蔵品の数々を目にし、気が付いた時には母二世になってしまっていた。

「男同士っていいわよぉ!本当に本当の愛が存在しなければ越えられない一線を越えた先の行為がもう…清々しいくらい純愛で…っ!」
「いや…解らないから…そういうの」

母で大概は慣れていたジャンルだったけれど、感化されやすい友人から訊かされる話は実に生々しいものばかりだった。

(本当誰も彼も勿体ない…)

涼花は勿論、父や裕翔くんに浬くん、そして龍ノ介くんも…

(モテる人種なのにノーマルじゃないなんて)

ない物強請りかも知れないけれど、私は勿体無い人種が周りにいるこの状況にもうずっと憂いていたのだった。

王子様の作り方
★ランキングサイトに参加しています。
其々1ポチずついただけると執筆の糧になります。

恋愛ランキング
にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村