一度中に出されたら後は何度されようと同じ事だった。


何故かそんな恐ろしい事を考えてしまって…



「はぁ…はぁ、はぁ…」
「はぁ、あ…はぁー」


結局私と海斗は、なんだかんだと二時間ほど行為に耽ってしまっていた。






「凪子、水」
「…ん」

キッチンの冷蔵庫から海斗がミネラルウォーターを出して来て、其れを私に手渡してくれた。

起き上がって水を飲もうとした瞬間、グポッという水音と共に私の中から大量の白い液体が流れ出た。

「きゃっ」
「あ、ティッシュ」
「あ…あっ…」

海斗が私から流れ出た自分の精液を拭き取っていた。

其の様子をただ茫然と眺めていた私は、徐々にこの状況のおかしさを理解して来た。


「……なんで」
「え」
「なんで海斗…私とセックスしたの」
「おまえ…あからさまだな」
「あからさまも何も、現にこういう状況になってるじゃない!なんで…なんで?私たち友だちで…海斗は私の事を一度だって女として見ていな──」
「見ていた」
「!」

絞って来たタオルで、トントンと絨毯を叩きながら海斗は呟くように云った。

「本当は…ずっとおまえの事を女として見ていた」
「…嘘」
「勿論最初は本当に女として見ていなかったし、好きじゃなかったし、康彦なんかに色呆けしているおまえを阿呆らしいとも思っていた」
「酷!」
「だけど…いっつも俺の傍にいて、康彦の事で綺麗になって行くおまえを間近で見ていたら…いつの間にか……好きになっていた」
「!」


(まさか…本当に──?!)


「俺は絶対に女なんか好きにならないと思っていたのに…後にも先にもおまえ──凪子だけが俺のそんな頑なな気持ちを揺さぶるんだ」
「…海斗」
「だけどおまえは康彦が好きで、康彦は俺にとって友だちで…だから俺はおまえたちの邪魔をしたくないと思ったから高校卒業を機におまえたちから離れたんだ」
「其のために県外の大学に行ったっていうの?!」
「あぁ。じゃなきゃ俺──どんなに卑怯で酷い手を使っても、おまえを俺のものにしていたと思う」
「!」
「好きな女の気持ちを無視した、自分勝手な欲望でおまえを穢すだろうと思ったから俺は」
「…海斗」


まさか海斗がそんな事を考えていたなんてちっとも知らなかった。


そんなに…


(そんなに私の事を──)


何故か海斗の秘めた本当の気持ちを知ってしまってから私の心は激しく動揺した。



「だけど康彦から凪子と別れたと訊いた時は、其の別れ方が凪子を物凄く傷つけていたとしても俺は…心の何処かで喜んでいたんだ」
「…」
「そんな最低な俺は更に傷ついている凪子の隙をついて…取り入ろうとした」
「…」
「でも性急に凪子を求めるつもりなんてなかった。本当に今日はただ話を訊いて、場合によってはいつもの調子で慰めるだけで酷い事は何もしないと決めていたのに、おまえが店の店長に告白されたなんて云うから」
「…だから私を抱いたの?」
「もう誰にも取られたくなかった。俺だけのものにしたかったんだ」
「海斗」


俯いて、両手で顔を伏せた海斗は吐き出すように其の心情を吐露した。


「おまえは俺を嫌っていい。もう友だちという関係でいるのも厭だというのなら…俺は」
「…そうね」
「え」


私が答えたひと言に、海斗は驚くほど俊敏に反応して、其の焦った表情を私に見せた。


「私…もう海斗と友だち、止める」


fl
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