海斗は女という生き物を嫌悪していた。


『ねぇ、海斗って好きな女の子いないの?』
『いない』
『え、なんで?いいなって思う子もいないの?』
『俺は女を好きにならない』
『えっ!何…ひょっとして海斗って…男が好──』
『違う!気色悪い事云うな』
『だって…じゃあなんで?なんでそんな事云うの?』
『…』


今思えば、私は随分無神経な事を海斗に訊いていたのだと思う。

煩いくらいにしつこく訊く私に、海斗は言葉少なに語った。


『俺は産まれてすぐに母親に捨てられたんだそうだ。未婚で俺を産んだ母親は自分一人では育てられないからと云って産院から児童養護施設に連絡が行って、生後一週間で俺は母親と引き離された。其れですぐに施設で里親になる今の両親の元に引き取られて此処まで育ててもらった』
『…海斗』
『俺を産んで捨てた身勝手な母親という存在の女の事は俺の中ではどうしても受け入れ難い憤りになっていて、そんな女というものに…酷く嫌悪を感じるんだ』
『…』
『最初から育てる気がないならなんで俺を…子どもを作ったりするんだ。安易な行為の末に俺はこの世に生を受けたっていうのか?!』
『海…斗』
『正直、母親という存在、其れ以上に…女という存在が疎ましいんだ』
『…私も?』
『え』
『海斗、女が嫌いって…じゃあ私の事も?本当は嫌いで、嫌悪感を抱いていて…なのにどうして私と』
『──おまえは女じゃねぇ』
『は?どういう意味よ』
『おまえは俺以外の男に現を抜かしている単なる色呆けだ。だからおまえを女として見ていない』
『何よ、其れ』
『…おまえは其のままでいてくれ。ずっと…其の名前の通りずっと俺の心に波風を立たせず凪いでいてくれ』
『海斗…』


海斗の出生の話を訊いてから少しだけ海斗に対する気持ちが変わった。

私は海斗の前では女を意識させないように振る舞った。


ずっと…


ずっと気の置けない友だちでいようと…


いたいと思った。





──なのに






「あぁん、あん、あん!」
「凪子…凪子」
「あぁ、やぁ…は、激しぃ」
「…」


今のこの状況はどうあっても男と女という関係の何者でもない状況。

ほんの数十分前の深いキスは私たちの体を火照らせ、其のまま行為に走らせたのは当然の流れだった。


「や…やぁ、海斗ぉ…深い、奥…あぁぁんっ」
「はぁ、はぁはぁ…」


グチュグチュと出し挿入れされる海斗のモノは私の知っているモノよりも遥かに太くて長くて…


(嘘、嘘!こんなの…知らないっ)


私は康彦の体しか知らない訳で、当然どうしても康彦のモノを比べてしまうのだけれど、だからこそ余計に海斗の規格外のモノに驚いていた。


だけど


「気持ち…いぃ…あぁん、はぁ…」
「…」


味わった事のない濃厚でありえない快楽にただ私は素直に喘ぐ事しか出来ない。


「凪子…いいか、中に…」
「…え」

海斗が何を云っているのか一瞬解らなかった。

解らなかったけれど、海斗から与えられる激しい攻めを私は逃げる事無く受け入れていた。


「ひゃぁん!あ、あぁぁぁっ、あっや、やっ…イク…イッちゃう」
「あぁ…凄い…締め付けてる…もう──限界だ」
「!」


腰の動きを止めた海斗のお尻をガシッと掴んでいた私は気が付いた。


(嘘っ、中…出し──?!)


彼氏だった康彦の時には一度たりともした事がなかった避妊無しのセックスを、よりにもよって友だちであるはずの海斗としてしまったのだった。

fl
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